毎日のごはん作り、できるだけ手間を減らしたいけれど、家族には美味しくて栄養のあるものを食べさせたいですよね。
わが家でも夫や小学生の娘がいるので、夕方のキッチンはいつも時間との勝負。そんな中で手放せなくなったのが「せいろ」です。
食材を切って並べて火にかけるだけで、野菜の甘みが引き出され、お肉もふっくらジューシーに仕上がります。
ただ、いざ「せいろを暮らしに取り入れてみよう」と思ったとき、最初にぶつかるのが道具選びのハードルではないでしょうか。
お店やネットショップを見ると、本体のほかに蒸し板や専用の鍋、敷き布、シート、専用たわしなど、たくさんの関連アイテムが並んでいて、何から揃えればいいのか迷ってしまいますよね。
全部買い揃えないと使えないのかと不安になるかもしれません。
実は、せいろ生活をスタートさせるために本当に必要な道具はごくわずかです。
最初から完璧にフルセットで揃えなくても、おうちにある調理器具を上手に活用しながら、無理なく蒸し料理を楽しむことができます。
私のこれまでの調理経験も交えながら、初心者が本当に必要なものと、あとから買い足せば十分なアイテムを分かりやすくお話ししていきますね。
- せいろ調理に最低限必要な道具とフライパン代用の方法
- 家庭に合わせたせいろ本体のサイズや素材の選び方
- 手持ちの鍋を活かせる蒸し板の仕組みと失敗しない選び方
- シートや布の使い分けとお手入れを劇的に楽にする便利グッズ
せいろを使うために本当に必要なもの
せいろを手に入れると聞くと、特別な厨房道具を一から揃えなければならないような印象を持つ方が多いようです。
しかし実際のところ、調理の基本原理さえ押さえてしまえば、スタート時の道具は驚くほどシンプルで大丈夫ですよ。
最低限必要な道具は本体と鍋のふたつ
せいろ調理を始めるにあたって、絶対に欠かせない基本の道具は「せいろ本体(身と蓋)」と「お湯を沸かす鍋」のふたつだけです。このふたつさえ手元にあれば、今日からでも蒸し料理を作ることができます。
せいろの仕組みは、下にある鍋から立ち上る高温の水蒸気を本体の中に対流させ、食材をじっくり加熱するというものです。
つまり、蒸気を発生させるための器と、その蒸気を受け止めて食材を包み込む木の器があれば、調理自体は問題なく成立するわけですね。
最低限揃えるべき基本アイテム
せいろ本体(食材を入れる「身」と蒸気を程よく逃がす「蓋」)に加えて、たっぷりの水を沸騰させ続けられる深さのある鍋があれば、蒸し調理の基本環境はすぐに整います。
専用の凝った調理器具をいくつも買い込む必要はありません。まずは基本のふたつを用意して、蒸したての野菜の美味しさを味わってみることから始めてみませんか。
フライパンでも代用できる調理の仕組み
「自宅にある鍋のサイズがせいろと合わない」「わざわざ新しい鍋を買うのは収納場所が心配」という方もいらっしゃるはず。
そんなときは、普段使っている深型のフライパンでお湯を沸かし、その上にせいろを乗せて調理することも可能です。
フライパンを活用する場合、底が広いためお湯が早く沸きやすいという利点があります。
ただし、せいろの木枠がフライパンの縁や底に直接当たって焦げてしまわないよう、水深の管理や火加減には少し気を配る必要があります。
深さが7cmから8cm以上あるフライパンであれば、蒸気がしっかり立ち上り、十分においしい蒸し料理が仕上がりますよ。
手持ちの道具を柔軟に生かすことで、初期費用を抑えながら気軽にせいろの使い心地を試すことができますね。
最初から一式を揃えなくてもよい理由
せいろ関連の売り場を見ていると、蒸し板やトング、受け台、専用の敷き紙などがセットで紹介されていることがよくあります。
もちろんこれらは持っていると便利な補助用品ですが、最初からすべてを買い揃える必要はまったくありません。
なぜなら、ご家庭ごとの家族構成やキッチンのコンロ環境、よく作る料理の種類によって、本当に必要となる小物はまったく違ってくるからです。
最初からすべて揃えてしまうと、一度も使わないままキッチンの引き出しの奥に眠ってしまう道具が出てきてしまうことも珍しくありません。
道具を揃えるおすすめの順番は、まず基本のせいろと鍋で何度か蒸し料理を作ってみることです。
実際に使っていく中で「もっと手入れを簡単にしたい」「大きなお皿ごと蒸したい」といった具体的な希望が出てきた段階で、必要なアイテムをひとつずつ買い足すのがもっとも無駄のない賢い揃え方ですよ。
せいろ本体と蓋の選び方と基礎知識
せいろ生活の中心となる本体選びは、サイズと素材の選択がとても大切なポイントです。ご自身の生活スタイルにぴったりのものを選ぶことで、毎日の料理がぐっと快適になります。
初心者に向いているサイズと段数の目安
せいろのサイズ表記は、外径の直径(センチメートル)で表されるのが一般的です。初めて購入される方にまずおすすめしたいのは、直径21cmまたは24cmのサイズです。
18cm以下の小さめサイズは、シュウマイや小籠包の温め直し、一人分の朝食には手軽で扱いやすいものの、キャベツのざく切りや大きめの根菜、メインディッシュのお肉やお魚を入れるには少し手狭に感じることがあります。
反対に27cm以上の大型サイズになると、一度にたくさんの食材を蒸せる反面、洗う場所や乾かすスペースの確保が少し大変になってきます。
| サイズ(直径) | 向いている用途・人数 | メリットと特徴 |
|---|---|---|
| 18cm | 1人暮らし・副菜用 | コンパクトで収納しやすく、小回りが利く |
| 21cm | 2人〜3人家族 | 野菜とお肉をバランスよく並べられる定番サイズ |
| 24cm | 3人〜4人家族 | 器ごと蒸す料理もしやすく、メイン料理に最適 |
| 27cm以上 | 大家族・作り置き | 一度に大量調理できるが、収納場所が必要 |
段数については、断然「2段セット」をおすすめします。
1段目で豚肉や鶏肉などのメイン食材を蒸しながら、2段目でブロッコリーやさつまいもなどの野菜を同時に蒸し上げることができるため、夕食の献立が一気に完成します。火加減や加熱時間を共有できるので、ガス代や電気代の節約にもつながりますよ。
もし購入時に迷ったら、初心者でも失敗しにくいせいろと鍋のセット商品を検討してみると、届いたその日からぴったり合う組み合わせで安心して調理をスタートできます。
竹や杉など素材ごとの特徴と使い勝手
せいろの素材には、主に「杉」「竹」「白木(檜や松など)」の3種類があります。それぞれに香りや耐久性、価格帯の違いがあるため、ご自身の好みに合わせて選ぶのが楽しいところです。
もっとも手頃な価格で購入しやすく、初心者に人気があるのは「杉」で作られたせいろです。
ふんわりとした爽やかな木の香りが特徴で、蒸し料理を作っている間中、キッチンに心地よい木の香りが広がります。吸湿性にも優れており、食材が水っぽくなるのをしっかり防いでくれます。
次に頑丈さを重視したい方におすすめなのが「竹」のせいろです。
竹は繊維が緻密で水気に強く、耐久性に優れているため、日々の調理でガシガシ使いたいご家庭に向いています。香りは比較的おだやかで、料理本来の風味を邪魔しません。
高級素材として知られる檜(ひのき)のせいろは、抜群の耐久性と気品のある美しい木目が魅力です。価格は高めですが、丁寧にお手入れを続ければ何十年と長く愛用できる一生物の道具になりますよ。
蓋の構造と蒸気の抜けやすさの違い
せいろの蓋には、職人技が光る「網代(あじろ)編み」と呼ばれる竹を編み込んだ構造が多く用いられています。この網目構造こそが、せいろが金属製の蒸し器よりも優れている最大の理由です。
金属の蓋を使うと、上がってきた蒸気が冷やされて水滴となり、食材の上にボタボタと垂れて料理がベチャついてしまうことがあります。
一方、せいろの竹編みの蓋は、余分な蒸気を程よく網目の隙間から逃がしつつ、必要な水分だけを内側に留めてくれます。
そのため、肉まんの皮はふっくらと、野菜はみずみずしいシャキッとした食感に仕上がるわけですね。
蓋を持つときは、編み込みの持ち手部分がしっかりと固定されているかを確認しておくと、日々の開け閉めがとてもスムーズになります。
せいろに合わせる鍋と蒸し板の選び方
せいろ本体と同じくらい大切なのが、蒸気を生み出すお湯を沸かす鍋の環境です。適切な組み合わせを知ることで、せいろを焦がしたり火災の原因を作ったりする危険をしっかりと防ぐことができます。
専用鍋と手持ち鍋の使い分けポイント
せいろ専用として販売されている鍋には、段付きの溝加工が施されています。
この段差にせいろの底がピタッとはまり込む設計になっているため、蒸気が横から漏れることなく効率的に本体内部へと送り込まれます。
グラつきもなく安定感があるので、安全性を最優先したい場合には専用鍋が一番です。
一方、すでにご自宅にある両手鍋や深型鍋を使いたいという場合には、せいろのサイズと鍋の内径がぴったり合っている必要があります。
鍋が大きすぎるとせいろが中に落ちてしまいますし、小さすぎると鍋の上に不安定に乗っかる形になり、大変危険です。
ガス火の直撃による焦げ付き事故に注意
手持ちの鍋にせいろを直接乗せて加熱する際、鍋の縁からせいろの底面がはみ出していると、コンロの炎がせいろの木枠を直撃して激しく焦げたり、発火したりする恐れがあります。
火加減は必ず鍋底からはみ出さない中火以下をキープしてください。
調理器具の事故や安全性に関しては、公的機関でも注意が呼びかけられています。
安全基準を満たした器具の選び方や火災予防の知識については、独立行政法人国民生活センターの事故事例や製品注意情報などを確認しておくと、日々の暮らしでより安心して火を扱うことができますよ。
蒸し板があれば手持ちの鍋が使える仕組み
「手持ちの鍋を活用したいけれど、サイズが合うか心配」という方にぜひ知っていただきたいのが、「蒸し板(むしいた)」という補助プレートの存在です。受け台と呼ばれることもあります。
蒸し板は中央に大きな丸い穴が開いた円盤状の金属プレートで、鍋とせいろの間に挟んで使用します。
鍋の上に乗せると、鍋口のサイズに関係なく安定した平らな土台を作ることができ、中央の穴から勢いよく立ち上る蒸気だけをせいろの中へと送り込んでくれます。
これさえ1枚あれば、専用の鍋をわざわざ購入しなくても、家にあるいろいろなサイズの両手鍋や中華鍋がそのまま「蒸し器用の鍋」に早変わりします。
キッチンの収納スペースを増やしたくない方にとって、まさに救世主のようなアイテムですね。
使い勝手や耐久性を考えると、錆びにくくお手入れが簡単なステンレス製の蒸し板を選んでおくと、長く快適に使い続けることができます。
蒸し板のサイズ選びで失敗しないコツ
蒸し板を選ぶときに多くの方が悩むのがサイズの決め方です。蒸し板には外径の直径が24cm、26cm、29cm、32cmなど様々なバリエーションが存在します。
失敗しないための基本ルールは、「使いたいせいろの外径よりも2cm以上大きく、使用する鍋の外径よりも一回り大きいもの」を選ぶことです。
蒸し板サイズの計算例
例えば、直径21cmのせいろを手持ちの直径20cmの鍋で使いたい場合は、外径24cm〜26cm程度の蒸し板を選ぶと、鍋の上でしっかり安定し、せいろの底面も安全に乗せることができます。
もしサイズ選びで迷ったら、少し大きめの蒸し板を選んでおくのが無難です。大きめの蒸し板を1枚持っておけば、将来的に少し大きなサイズのせいろを買い足したときにもそのまま併用することができますよ。
鍋の水切れを防ぐたっぷりのお湯の量
蒸し料理で絶対に避けなければならないトラブルが、お湯が途中で完全になくなってしまう「空焚き」です。
空焚きをしてしまうと鍋が激しく変形・変色するだけでなく、せいろが焦げて煙を上げたり、火災事故に直結したりして大変危険です。
蒸し調理中は、私たちが思っている以上に早いスピードでお湯が蒸発していきます。20分から30分ほど加熱し続ける場合、一般的な鍋であれば1リットル以上のお湯があっという間に消えてしまうこともあります。
そのため、使用する鍋はできるだけ深さがあり、水をたっぷり蓄えられるものを選びましょう。
また、調理を始める前にあらかじめケトルでお湯を沸かしておき、途中で鍋の水位が下がってきたらすぐに足し湯ができる状態を整えておくのが安心ですよ。
せいろに敷くシートと布の違いと使い方
せいろの底面には竹のすのこが敷かれていますが、ここに直接お肉やお魚を乗せてしまうと、脂やタンパク質がこびりついて後から洗うのが大変になってしまいます。そこで活躍するのが、食材の下に敷く敷物です。
クッキングシートや専用シートの便利さ
手軽さを最優先したいときには、使い捨てができるシート類がもっとも便利です。現在では、せいろ専用の丸型にカットされ、あらかじめ蒸気が抜ける穴がたくさん開けられた専用蒸しシートが市販されています。
また、普段ご家庭で使っているロール状のクッキングシートをハサミで丸く切り、フォークやハサミで適度に穴を開けて敷くだけでも立派に代用できます。これなら特別な買い足しをしなくても、今すぐ実践できますね。
シートを使う最大のメリット
調理が終わったらそのままゴミ箱に捨てるだけなので、すのこに油汚れや食材の破片がこびりつくのを防ぎ、食後の後片付けの時間を圧倒的に短縮できます。
餃子やシュウマイ、油の多い豚バラ肉の蒸ししゃぶなどを作るときには、シートを敷いておくと本当に後片付けが楽になりますよ。
蒸し布やふきんを使うメリットと注意点
昔ながらの伝統的な調理方法として親しまれているのが、綿や麻で作られた「蒸し布(むしぬの)」やすのこ用のふきんです。
お赤飯やおこわを炊くとき、手作りの中華まんやパンを蒸すときには、布ならではの優れた吸水性が大きな力を発揮します。
布は食材から出る余分な水分や蒸気を適度に吸い取ってくれるため、蒸しパンの底が水分でふやけてしまうのを防ぎ、全体をふんわり均一な食感に仕上げてくれます。
また、蒸し上がった後に布の両端を持ち上げるだけで、熱々の食材を一気にせいろから取り出せるという作業性の良さも見逃せません。
蒸し布を扱う際のお手入れ注意点
蒸し布を洗うときは、合成洗剤や柔軟剤を絶対に使わないようにしてください。布の繊維に洗剤の香料や界面活性剤が残り、次回蒸したときに料理全体に洗剤の匂いが移ってしまいます。
使用後は流水でしっかりもみ洗いし、熱湯で煮沸消毒してから完全に天日干しするのが鉄則です。
クッキングペーパーや代用品の活用法
「専用シートを切らしてしまったけれど、蒸し布を洗うのは少し面倒」という日には、身近なキッチンアイテムを上手に代用してみましょう。
一般的なオーブン用のクッキングペーパー(シリコン樹脂加工耐熱紙)はもちろんのこと、アルミホイルを軽くくしゃくしゃにしてから広げ、穴を開けて敷く方法も有効です。
アルミホイルにくぼみができることで食材がくっつきにくくなり、肉汁を逃さずにキャッチしてくれます。
ただし、キッチンペーパー(吸水紙)の中には耐熱温度が低く、高温の蒸気で破れたり食品に貼り付いてしまったりするものもあるため、必ず「蒸気調理対応」「耐熱仕様」と表記されているかを確認してから使用してくださいね。
キャベツなど野菜を敷く美味しい工夫
元栄養士の視点から、毎日の食卓でぜひおすすめしたい最高の方法が、「葉物野菜をそのまま敷き紙代わりにしてしまう」というアイデアです。
キャベツや白菜、レタスなどの大きな葉をせいろの底一面に敷き詰め、その上に豚肉や鶏肉、シュウマイなどを並べて蒸し上げます。
こうすると食材がすのこにこびりつくのを完璧にガードできるうえ、お肉から染み出た旨味たっぷりの脂やスープを下の野菜がすべて吸収してくれます。
蒸し上がったら、敷いた野菜もお肉と一緒に美味しく全部食べられるので、ゴミが一切出ません。
野菜のかさが減ってたくさんの食物繊維やビタミンを手軽に摂取できるため、家族みんなの健康管理にもぴったりですよ。
調理とお手入れを楽にするおすすめの道具
せいろ本体と鍋だけでも料理は可能ですが、ちょっとした周辺の道具をプラスするだけで、調理中の火傷の危険が減り、日々のメンテナンスが劇的に楽になります。
焦げや変形を防ぐ受け台の活用法
コンロの上に鍋をセットしてせいろを乗せる際、先ほどご紹介した蒸し板(受け台)は、単なるサイズ調整だけでなく、せいろ本体の寿命を延ばす防護シールドとしての役割も果たしてくれます。
せいろの底が鍋の縁に直に接触していると、長時間の加熱によって鍋の熱が木枠に伝わり、焦げ目がついたり乾燥して木が割れたりする原因になります。
金属の受け台を1枚挟むことで、直火や鍋の過熱から木枠を守り、お気に入りのせいろを長く綺麗な状態で使い続けることができます。
蒸し上がりに欠かせないトングや耐熱手袋
せいろを使った調理で、意外と油断しやすいのが「蒸し上がった直後の熱さ」です。
火を止めた直後のせいろは、木枠全体が熱々の蒸気を吸い込んで高温になっており、蓋を開けた瞬間にも大量の熱い蒸気が一気に吹き出します。
素手で触るのはもちろん危険ですし、普通の薄手の布巾だけで持ち上げようとすると、蒸気が布を通り抜けて火傷をしてしまう恐れがあります。
そこで用意しておきたいのが、滑り止めがついたシリコン製の耐熱手袋や、長めのキッチントングです。
安全に取り扱うための必需品
食材を乗せた器ごとせいろから取り出したいときには、器の縁をしっかり掴める専用の「皿用トング」や耐熱ミトンがあると、熱い汁物をこぼす心配がなく安全に食卓へ運べますよ。
洗剤を使わずに洗うための専用たわし
せいろのお手入れにおいて、もっとも大切な鉄則は「台所用合成洗剤を使わないこと」です。
木肌は多孔質で水分や成分を吸収しやすいため、洗剤を使うと泡や界面活性剤が木の中に染み込んでしまい、洗い流すことができなくなってしまいます。
そこで大活躍するのが、天然素材で作られた亀の子たわしなどのブラシです。
水やぬるま湯を流しながら、たわしの先で木目に沿って優しくこするだけで、すのこの隙間に入り込んだ細かな汚れを綺麗に掻き出すことができます。
せいろを洗う道具としては、適度なコシがあって木肌を傷つけにくいパーム素材の専用たわしをひとつキッチンに用意しておくと、調理後の後片付けが驚くほど手早く終わります。
カビを防いで長持ちさせる乾燥スタンド
せいろを使っていて一番多いお悩みが「カビの発生」です。木製のせいろは水分をたっぷり吸い込むため、使用後に中途半端な乾かし方をしてしまうと、わずか数日で黒カビが生えてしまうことがあります。
使い終わって洗った後は、平置きにするのではなく、風が通り抜けるように立てて乾かす必要があります。
お皿用のディッシュスタンドやまな板スタンド、100円ショップのブックエンドなどを活用して、せいろの身と蓋をしっかりと立てて日陰干しできるスペースを作ってあげましょう。
失敗しないせいろの基本の使い方と手順
道具が揃ったら、いよいよ調理の実践です。せいろには木製ならではの正しい使い方のステップがあります。ここを間違えなければ、焦げ付きや破損のトラブルを未然に防ぐことができますよ。
使う前に必ず本体を水で濡らす理由
せいろを火にかける前、必ず最初に行ってほしい作業が「せいろ全体を水で濡らす」ことです。本体の身も蓋も、水道の流水にサッとくぐらせ、全体をまんべんなく湿らせてから使います。
なぜ乾いたまま火にかけてはいけないかというと、理由はふたつあります。ひとつは、木をあらかじめ水分で満たしておくことで、蒸し調理中に食材の油や匂いが木肌の奥深くへ染み込むのを防ぐためです。
そしてもうひとつは、乾燥した木枠が熱によって焦げ付いたり反り返ったりするのを防ぐためです。
びしょびしょに濡らした後は、水滴が食材にボタボタ垂れないよう、清潔な布巾で表面の余分な水気を軽く拭き取ってから鍋に乗せてくださいね。
沸騰したお湯から立ち上る蒸気で蒸す基本
せいろ調理の大きなルールは、「必ず鍋のお湯が完全に沸騰してから、せいろを乗せる」ということです。水の状態からせいろを鍋の上に乗せて一緒に火にかけてしまうのは失敗の元になります。
まだ蒸気が十分に立っていないぬるい状態で食材を置いてしまうと、加熱に余計な時間がかかり、食材から水分が抜けて旨味が逃げてしまったり、野菜の色が悪くなったりしてしまいます。
グラグラと勢いよく白い湯気が立ち上っているのを確認してから、食材を並べたせいろを素早くセットしましょう。
強い蒸気で一気に加熱することで、食材の細胞壁が壊れにくくなり、野菜本来の鮮やかな色合いとシャキッとしたみずみずしい食感を閉じ込めることができますよ。
空焚きや焦げ付きを防止する安全確認
せいろをセットして火をつけたら、タイマーをかけて加熱時間をしっかり管理しましょう。家庭用のコンロで調理する場合、火加減は「鍋底に炎の先端がちょうど当たる程度の中火」が基本です。
強火にしすぎると、鍋の横から炎が立ち上がってせいろを焦がしてしまうだけでなく、お湯の減るスピードが異常に早くなってしまいます。
調理中は時々鍋の中を覗き込み、お湯が十分に残っているかを確認する習慣をつけておくと安心ですね。
せいろのお手入れ方法と保管の注意点
せいろを長く清潔に愛用できるかどうかは、日々のちょっとしたお手入れ習慣にかかっています。
「木製のお手入れは難しそう」と感じるかもしれませんが、コツさえ掴んでしまえば実はフライパンを洗うよりも手軽ですよ。
洗剤を使わずぬるま湯で洗う基本手順
食事が終わったら、できるだけ時間を置かずにせいろをお手入れしましょう。
野菜を蒸しただけで油汚れがついていない場合は、無理に水洗いをする必要すらありません。固く絞った濡れ布巾で全体を丁寧に拭き上げるだけで十分です。
お肉の脂やお魚のドリップが少しついてしまった場合は、水またはぬるま湯を流しながら、前述のたわしを使って木目に沿って汚れを洗い流します。
ゴシゴシと力を入れすぎず、表面の汚れを優しく払い落とすようなイメージで洗うのがポイントです。
食器洗い乾燥機の使用は厳禁
せいろを食洗機に入れて洗うのは絶対に避けてください。高温の温風乾燥によって木材が急激に収縮し、枠が歪んだり、接着部分や留め具の桜皮がパチンと弾け飛んで割れてしまいます。
カビを防ぐための風通しのよい乾燥場所
洗い終わったせいろは、直射日光の当たらない「風通しのよい日陰」で完全に乾かします。
早く乾かしたいからといって直射日光に当ててしまうと、急激な乾燥によって木枠が反り返ったり、ひび割れを起こしたりしてしまうので注意してください。
完全に乾くまでの時間の目安は、季節や湿度にもよりますが、丸一日から丸二日ほどです。木肌の表面が乾いているように見えても、木枠の内部にはまだ湿気が残っていることがよくあります。
「もう十分に乾いたかな」と思ってから、さらにもう半日風に当てておくくらいがちょうど良いですよ。
におい移りや汚れを防ぐ普段の工夫
せいろの保管場所として、もっとも避けるべきなのは「シンク下の収納扉の中」です。
シンクの下は湿気が溜まりやすく、空気が淀んでいるため、せいろをしまい込んでおくと高確率でカビの温床になってしまいます。
保管するときは、キッチンの吊り戸棚の上や、風が通るキッチンの棚の上などにそのまま出しておくのが理想的です。
ホコリが気になる場合は、上から清潔な手ぬぐいやキッチンクロスをふわりと掛けておくだけで十分です。
また、ビニール袋などに密閉して保管するのも絶対にNGです。木が呼吸できなくなり、内部に残ったわずかな湿気でカビが生えてしまいます。
自然素材の器は、外の空気に触れさせながら保管してあげることが長持ちの秘訣ですよ。
せいろの道具に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 自宅のIHクッキングヒーターでもせいろは使えますか?
A. はい、IHに対応した鍋やフライパンを使えばまったく問題なく使えますよ。せいろ自体は木製なのでIHの電磁誘導には反応しませんが、下でお湯を沸かす鍋がIH対応であれば、しっかりと蒸気を立ち上げて美味しく調理することができます。蒸し板を使用する場合も、IH対応の鍋の上に蒸し板を乗せ、その上にせいろを配置すれば安全に使えます。
Q2. 蒸し板と受け台は同じものですか?どちらを買うべきですか?
A. 基本的には同じ役割を持つ道具と考えていただいて大丈夫です。メーカーによって「蒸し板」「受け台」「スチームプレート」など呼び名が異なりますが、どちらも鍋とせいろの間に挟んでサイズを調整し、安定させるための円盤状プレートを指します。ご自宅にある鍋のサイズと、使いたいせいろの直径に合わせて、適切な大きさのものを1枚選べば十分ですよ。
Q3. せいろに敷くシートは普通のクッキングペーパーでも大丈夫ですか?
A. はい、普段お菓子作りやお料理に使っている市販のクッキングシートで十分に代用できます。せいろの底に合わせて丸く切り抜き、蒸気が通るようにハサミやフォークで数カ所穴を開けて敷いてあげてください。専用の穴あきシートをわざわざ買わなくても、おうちにあるもので手軽に代用できますよ。
Q4. 1段だけでも使えますか?2段買う必要はありますか?
A. 1段だけでも問題なくお使いいただけます。ただし、せいろの最大の魅力は「上下で同時に別のおかずが作れること」にあります。1段目で主菜のお肉を蒸しながら、2段目で付け合わせの野菜を同時に仕上げると、夕飯の準備が一瞬で終わりますよ。蓋と身が1段ずつあれば後から身だけを追加することも可能ですが、最初から2段セットで購入したほうが割安な場合が多いですね。
Q5. もしカビが生えてしまったらもう使えませんか?
A. 表面にうっすら生えた程度の軽い白カビであれば、たわしでお湯洗いしながら擦り落とし、その後せいろ全体を何も入れずに15分ほど空蒸しして熱湯消毒することで再生できる場合があります。空蒸しした後は風通しのよい日陰で芯までしっかり乾かしてください。ただし、木の奥深くまで黒カビが浸透して変色してしまった場合は衛生的によくないため、買い替えを検討することをおすすめします。
必要なものだけ揃えてせいろ生活を始めよう
せいろを使うために必要な道具について、基本から便利アイテムまで詳しく見てきました。
たくさんの道具があるように見えて、本当に必要な基本アイテムはとてもシンプルだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
振り返ってみると、せいろを始めるためのポイントは以下の通りです。
- 最低限必要な道具は「せいろ本体(身と蓋)」とお湯を沸かす「鍋」のふたつだけ
- 手持ちの鍋を活かすなら、サイズ調整と焦げ防止ができる「蒸し板」があると非常に便利
- 日々の手入れを楽にするなら使い捨てシートやキャベツの葉を活用し、洗うときは洗剤を使わずたわしを使う
- 最初から完璧なフルセットを揃える必要はなく、日々の料理に合わせて必要な道具を少しずつ買い足すのが失敗しないコツ
せいろの蒸気で蒸し上げたお野菜は、調味料をほとんど使わなくても驚くほど甘く、家族も喜んでパクパク食べてくれます。
まずは手元にある鍋と基本のせいろから、気軽な気持ちでほくほくの蒸し料理を楽しんでみてくださいね。
