わが家の食卓にせいろを取り入れてから、夕方の慌ただしい夕飯作りが驚くほど気楽になりました。
毎日の家事や子育ての合間に手の込んだ料理を作るのは本当に大変だと感じます。仕事から帰ってきてヘトヘトなときでも、切った野菜やお肉を並べて蒸すだけで、素材の甘みがぐんと引き出されたごちそうが完成します。
けれど、購入前や手元に届いたばかりのときは「カビさせたらどうしよう」「火加減やお湯の量が難しそう」「焦げたりしないかな」と、少し身構えてしまいますよね。
天然の木や竹でできている道具だからこそ、特別な手入れが必要なのではないかと不安になる気持ちもよく分かります。
実際のところ、せいろの扱いは拍子抜けするほどシンプルです。最初の準備とお湯をたっぷり沸かすこと、そしてしっかり乾かすことさえ押さえておけば、毎日の頼もしい相棒になってくれます。
この記事では、道具選びから火加減のコツ、手入れまで、私が普段の暮らしで実践しているやり方を余すところなくお話ししていきます。
- せいろを使い始める前の正しい準備
- 食材をおいしく仕上げる火加減と水の量
- 失敗や焦げ付きを防ぐ基本的な蒸し方
- 長く清潔に愛用するための手入れ方法
せいろの魅力と基本の特徴
せいろが台所にあるだけで、湯気とともに木のやさしい香りがふんわりと広がり、日々の料理がちょっとした癒やしの時間に変わります。
まずは道具としての特性や、なぜ蒸し料理が日々の食卓を助けてくれるのかを見ていきましょう。
蒸気で包み込む料理の良さ
せいろの最大の魅力は、蒸気の熱で食材をやさしく均一に加熱してくれる点にあります。
フライパンで焼くときのような急激な温度変化が少なく、電子レンジのように食材の水分を奪いすぎてパサパサにしてしまう心配もありません。
立ちのぼる蒸気が食材全体を包み込むため、水溶性のビタミンやうま味成分が外へ逃げ出しにくいという栄養面でのメリットも大きな魅力です。
特にブロッコリーやにんじん、かぼちゃといった普段の根菜類は、蒸すだけで調味料がいらないほど濃厚な甘みが引き出されます。
偏食しがちな小学生の子どもも、せいろで蒸した野菜なら何もつけずにパクパクと食べてくれることが多く、親としても本当に助かっています。
さらに、余分な油を使わずに調理できるため、消化器系への負担が少ないのも嬉しいポイントです。
お肉の余分な脂はほどよく落ち、身はふっくらとジューシーに仕上がります。疲れて帰ってきた夜でも、胃もたれを気にせず満足感のある食事が手軽にとれますよ。
木製ならではの調湿と温もり
せいろに使われる天然の木や竹には、余分な水分を吸い取り、足りない湿度を保ってくれる優れた調湿効果が備わっています。
金属製の蒸し器だと、フタの裏に付いた結露が水滴となって食材の上にボタボタと落ちてしまい、表面が水っぽくなってしまう経験はありませんか。
せいろなら、フタが適度に蒸気を逃がしながら水分を吸ってくれるため、食材がべたつく失敗を防げます。
また、調理が終わったらそのまま食卓へ運べるのも木製ならではの良さです。お皿に移し替える手間が省けるだけでなく、器としての見栄えも抜群で、食卓が一気に華やぎます。
木の断熱性のおかげで冷めにくく、家族が揃うまでの間も温かい状態をキープしてくれる頼もしさがあります。
天然素材が余分な水分を吸収してくれるため、食材の上に水滴が落ちず、肉まんの皮やシュウマイもふっくら極上の食感に仕上がります。
せいろを使い始める前の準備
手元に新しいせいろが届いたら、すぐに料理を作りたくなりますよね。でも、長く快適に使い続けるためには、最初のほんの少しの手間が肝心です。ここでは使い始めに行う下準備について詳しく解説します。
購入後に最初に行う水通し
新しいせいろを買ったら、まず最初にしてほしいのが全体を水で濡らす「水通し」です。
使い始めの木肌は乾燥しきっているため、そのまま急激に高温の蒸気に当てると、木が反り返ったりひび割れたりする原因になります。
全体を水にくぐらせることで繊維に適度な水分を含ませ、蒸気による急激な膨張を防ぐ大切なステップです。
やり方はとても簡単で、水道の流水で全体をサッと流すか、大きめのボウルやシンクに水を張って全体をサッと浸すだけで構いません。
このとき、洗剤を使う必要はまったくありません。木肌に洗剤の成分が染み込んでしまうと、使うたびに洗剤の匂いが食材に移ってしまうため、必ず水だけで行ってくださいね。
木の香りを和らげる空蒸し
水通しを終えたら、次は食材を入れずに蒸気を通す「空蒸し」を行います。新品のせいろには、杉やヒノキ特有の強い木の匂いや、製造過程で付いた細かな木の粉が残っていることがあります。
あらかじめ10分から15分ほど空蒸しをしておくことで、余分なアクや強い香りを飛ばし、料理の風味を損なわずに使える状態へと整えます。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、水で濡らしたせいろをフタごとセットして中火で蒸気を通します。立ちのぼる蒸気に木の香りが混ざり合って漂ってきますが、15分ほど経つと香りがやわらかく落ち着いてきます。
この一手間を挟むだけで、最初の肉まんや蒸し野菜に強い木の匂いが移ってしまうトラブルをしっかり防げます。
木の香りがどうしても気になる場合は、空蒸しの際にキャベツの外葉や大根の皮、ネギの青い部分など、普段は捨ててしまう野菜くずを一緒に入れて蒸すと、素材の匂いが木に移ってアクや渋みが和らぎやすくなります。
通気性を保つ乾燥のやり方
空蒸しが終わった直後のせいろは、熱と蒸気をたっぷり吸い込んでとてもデリケートな状態です。熱いうちに清潔なふきんで表面の水分をしっかり拭き取り、風通しのよい日陰で完全に乾かしてください。
ここで湿気を残したまま扉付きの棚などにしまい込んでしまうと、あっという間にカビの原因になってしまいます。
乾かす場所は、直射日光が当たらないキッチンのカウンターや、風が通る窓際が最適です。
直射日光に当てて天日干しをしてしまうと、木の乾燥が急激に進んで歪みや割れを引き起こす恐れがあるので避けてくださいね。
底面を浮かせるように立てかけて風を通すのが、きれいに乾かすためのちょっとしたコツです。
せいろ調理に必要な道具
せいろ単体だけでなく、周囲を支える周辺の道具を揃えておくと、日々の調理がぐっと快適で安全になります。
無理にすべてを一気に集める必要はありませんが、持っておくと失敗を防げる便利なアイテムをご紹介します。
サイズに合わせた手持ちの鍋
せいろを使うには、下に重ねてお湯を沸かす鍋が欠かせません。専用の鍋がセットになっているものもありますが、基本的には自宅にある深めの両手鍋や片手鍋で十分代用できます。
大切なのは、せいろの外径と鍋の内径がぴったりフィットしているかどうかという点です。
もし鍋の口径がせいろよりも大きすぎると、せいろが鍋の中に落ちてしまい、大切な木枠が直接熱湯に浸かってしまいます。
反対に鍋が小さすぎると、せいろが安定せずグラグラと揺れてしまい、隙間から蒸気が漏れて加熱がうまくいきません。深さもしっかりあり、お湯がたっぷり入るお鍋を選んでください。
焦げを防ぐ蒸し板の活用法
手持ちの鍋とせいろのサイズが微妙に合わないときに、絶大な威力を発揮するのがステンレス製の「蒸し板」です。
鍋の上に平らな蒸し板を置き、その中央の穴の上にせいろを乗せるだけで、どんな鍋でも蒸し器専用の鍋として使えるようになります。
さらに蒸し板には、鍋の側面から立ちのぼる直火の炎を遮り、せいろの底面が焦げるのを防いでくれるという非常に重要な役割があります。
特にガス火を使っているご家庭では、鍋底からはみ出た炎でせいろの縁をうっかり焦がしてしまうトラブルが多発します。
扱いやすいアルミやステンレスの蒸し板が一枚あるだけで、火加減の心配や焦げ付きのストレスから完全に解放されますよ。
蒸し板を選ぶときは、せいろの直径よりひと回りからふた回りほど大きいサイズを選ぶと、蒸気の抜けがよく安定感も抜群です。
張り付きを抑える敷き布と紙
小籠包や餃子、肉まんを蒸すとき、底の竹すだれに皮がペタッと張り付いて破れてしまったら悲しいですよね。
そんな失敗を防ぐために欠かせないのが、底に敷く敷き物です。昔ながらの綿の蒸し布は、余分な蒸気を程よく吸いながら全体を均一に蒸し上げてくれる優れものです。
手入れの手軽さを最優先にしたい場合は、市販の穴あきクッキングシートやシリコンシートがとても重宝します。
使い捨てのシートなら、蒸し終わったあとにゴミ箱へ捨てるだけなので、後片付けの手間がほとんどかかりません。用途に合わせて、布と使い捨てシートを上手に使い分けてみてください。
| 敷き物の種類 | メリット | デメリット | おすすめの料理 |
|---|---|---|---|
| 綿の蒸し布 | 水分調節に優れ、おこわがべたつかない | 使用後に洗濯と煮沸消毒が必要 | おこわ、茶碗蒸し、蒸しパン |
| 穴あきクッキングシート | 使い捨てで後片付けが圧倒的に楽 | 蒸気の通り道(穴)を塞ぎやすい | 肉まん、シュウマイ、餃子 |
| キャベツ・白菜の葉 | ゴミが出ず、敷いた野菜も美味しく食べられる | 野菜の水分が多少出る | 豚肉の蒸ししゃぶ、温野菜 |
せいろを使う前の必須手順
いよいよ調理に入ります。せいろを安全かつ清潔に使うために、火にかける直前に守ってほしい手順をまとめました。ここを怠らないことが、失敗しないための近道です。
木肌をしっかり濡らす理由
調理前には、フタも本体も必ず水道水で濡らしてください。
この一手間を省いて乾燥したままのせいろを火にかけてしまうと、高温の蒸気で木枠が焦げやすくなるだけでなく、食材の油分や調味料のタレ、肉汁が木の繊維の奥深くまで染み込んでしまいます。
一度木の中に油や匂いが染み込むと、洗剤が使えないせいろでは落とすのが非常に難しくなります。
あらかじめ木肌に水を吸わせて水分の膜を作っておくことで、食材の汚れが浸透するのを防ぐバリアの役目を果たしてくれます。さっと流水に潜らせるだけで十分ですので、毎回の習慣にしてくださいね。
食材がくっつかない敷き方
水で濡らしたせいろに、先ほどご紹介した敷き布やクッキングシートをセットします。このとき意識したいのが、蒸気の通り道を完全に塞いでしまわないことです。
せいろの底面にある竹のすだれは、蒸気が下から上へと勢いよく抜けるための大切な隙間になっています。
シートを使う場合は、蒸気穴が開いている専用品を選ぶか、普通のオーブンシートを使うなら竹串やフォークで数カ所穴を開けておくと蒸気がスムーズに巡ります。
また、キャベツや白菜、レタスなどの葉物野菜をちぎって敷き詰めるのも素晴らしい知恵です。お肉の脂をキャベツが吸ってくれて、敷いたお野菜自体が絶品のおかずになります。
湯が沸いてから乗せる重要性
初めて使う方が一番やってしまいがちなのが、水が入った冷たい鍋の上にせいろを乗せ、そこから火をつけてしまうことです。
水から徐々に加熱していくと、ぬるい蒸気がダラダラと立ちのぼり、食材の表面が結露で水っぽくふやけてしまいます。
さらに、適切な温度に達するまでに時間がかかるため、蒸し時間の目安が狂って食材に火が通り過ぎたり、反対に生煮えになったりする原因になります。
必ず鍋にお湯を沸かし、ボコボコと力強く沸騰して白い蒸気が勢いよく立ちのぼっているのを確認してから、せいろをセットしてください。高温の蒸気で一気に蒸し上げることで、旨味をギュッと閉じ込めることができます。
必ず「お湯が完全に沸騰してから」せいろを乗せましょう。水の状態から乗せてしまうと、食材が水分を吸いすぎて食感がべちゃついてしまいます。
失敗しない蒸し方と火加減
せいろ調理の心臓部ともいえるのが、蒸している間の火加減とお湯の管理です。ここさえ掴んでしまえば、どんな食材でも失敗なくふっくら仕上げられます。
蒸気を通す食材の並べ方
食材をせいろに並べるときは、欲張ってギューギューに詰め込みすぎないのが鉄則です。
食材と食材の間に指一本分くらいの適度な隙間を空けて並べることで、底から上がってきた蒸気がせいろ全体をムラなく循環します。
火の通りやすさに合わせて配置を工夫するのも上手な使い方です。
蒸気は中央よりも縁に近い側面を伝って強く上がってくる傾向があるため、火の通りにくい厚切りの根菜やお肉を中心よりもやや外側に配置し、火が通りやすい葉物野菜やキノコを中心近くに置くと、全体の仕上がり時間が揃いやすくなります。
基本となる中火から強火
蒸している間の火加減は、基本的に「蒸気が常に勢いよく立ちのぼる中火〜強火」をキープします。
火が弱すぎると蒸気の発生量が減り、せいろの内部温度が下がってうまく火が通りません。フタの網目や隙間から、白い蒸気がモクモクと絶え間なく吹き出している状態がベストなサインです。
ただし、鍋底からはみ出るほどの強火にしてしまうと、立ち上がった炎がせいろの側面を直撃して木を焦がしてしまいます。
鍋の底面全体に炎の先端がしっかり当たっているけれど、外側にはみ出さない程度の火力を意識して調整してください。
空焚きを防ぐ鍋の水の量
せいろ調理で最も危険なのが、鍋のお湯がいつの間にか蒸発してなくなってしまう「空焚き」です。
中火から強火で蒸し続けるため、想像している以上にお湯の減りは早いです。鍋には常に7分目から8分目程度のたっぷりのお湯を張ってからスタートしてください。
蒸し時間が15分を超えるような煮込み料理や肉料理を作る場合は、途中で必ず鍋の中のお湯の残量を確認しましょう。
もしお湯が少なくなってきたら、必ず「沸騰したお湯」を足してください。ここで冷たい水を入れてしまうとお湯の温度が一気に下がり、蒸気が止まって蒸し上がりにムラができてしまいます。
電気ケトルなどでいつでも足し湯ができるよう、あらかじめお湯を沸かしておくのが賢いやり方です。
お湯がなくなると鍋が焦げ付くだけでなく、木製のせいろが炭化して火災につながる危険があります。長時間の調理では、タイマーをかけてこまめにお湯の残量を確認してください。
初めてにおすすめの簡単料理
せいろを手に入れたら、まずは難しい料理ではなく、誰でも絶対に美味しく作れるシンプルなメニューから挑戦してみましょう。一度成功体験を味わうと、毎日の料理が本当に楽しくなります。
素材の甘みを引き出す温野菜
何を作ろうか迷ったら、冷蔵庫にある野菜を適当に切って蒸すだけの温野菜が一番のおすすめです。
にんじん、じゃがいも、さつまいも、カボチャなどの根菜類は、乱切りや少し厚めの輪切りにします。キャベツやブロッコリーなど火の通りやすい野菜も一緒に並べましょう。
お湯が沸いた鍋にセットして、中火で約10分から12分。竹串を太い野菜に刺してみて、スッと抵抗なく通れば完成です。
調味料はお塩、オリーブオイル、マヨネーズ、ごまだれなど、お好みのものを小皿に用意してディップしながらいただきます。野菜本来の持つ力強い甘さに、大人も子どももきっと驚くはずです。
ふっくら仕上がる冷凍肉まん
市販の肉まんやあんまん、冷凍の点心も、せいろの威力を最も実感しやすいメニューのひとつです。
電子レンジで温めると、どうしても皮の端っこがカチカチに硬くなってしまったり、逆に底が湿気でドロドロになってしまったりすることがありますよね。
せいろにクッキングシートを敷き、冷凍や冷蔵の肉まんを置いてフタを閉め、約10分から15分ほど蒸気で温めます。
蒸し上がった肉まんは、指で触れると吸い付くようにしっとり、割ると中からふっくらと柔らかな湯気が立ち上ります。老舗の中華料理店で食べるような本格的な味わいが、自宅で手軽に楽しめますよ。
冷凍の肉まんは解凍せず、凍ったままの状態でせいろに入れて蒸して大丈夫です。中までじっくり熱が伝わり、皮も具も最高のふっくら感に仕上がります。
手軽な豚肉と白菜の重ね蒸し
少しボリュームのあるおかずを作りたいときは、豚バラ肉と白菜を交互に重ねた蒸し料理が手軽でおすすめです。
せいろの底一面にざく切りにした白菜を敷き詰め、その上に薄切りの豚バラ肉を広げます。これを2〜3層ほど重ねて、お好みでスライスした生姜を散らします。
フタをして強めの中火で約8分から10分。豚肉にしっかり火が通れば出来上がりです。
余分な脂がすだれを通してお湯の中に落ちていくため、豚バラ肉とは思えないほどさっぱりとヘルシーに食べられます。ポン酢やゆず胡椒を添えれば、立派なメインディッシュの完成です。
せいろのサイズと選び方
これからせいろを揃える方や、もうひとつ買い足したいと考えている方のために、使い勝手を大きく左右するサイズ選びと素材の違いについて解説します。
家族構成で決める直径の目安
せいろのサイズは一般的に「寸」や「cm」で表記されます。家庭用として広く普及しているのは、直径18cm、21cm、24cmの3つのサイズです。
小さすぎると一度に作れる量が限られてしまい、大きすぎると手持ちの鍋に合わなかったり収納場所を取ったりするため、家族の人数や用途に合わせた選択が重要です。
一人暮らしや、朝食に少し野菜を蒸したり肉まんを1個温めたりする程度なら「18cm」が小回りが利いて便利です。
2人から3人のご家庭で、日常の夕食のおかずをしっかり作りたいなら「21cm」が最も汎用性が高く重宝します。
4人以上のご家族や、大きなお皿をせいろの中にそのまま入れて蒸し魚などを作りたい本格派なら「24cm」を選ぶと間違いありません。
| サイズ(直径) | 適した人数 | 向いている料理や用途 | 取り回しのしやすさ |
|---|---|---|---|
| 18cm | 1人〜2人 | 肉まん1〜2個、朝食の少量の温野菜 | コンパクトで洗いやすく収納も楽 |
| 21cm | 2人〜3人 | 夕食のメインおかず、シュウマイ15個前後 | 家庭用として一番使い勝手が良い万能型 |
| 24cm | 3人〜4人以上 | 大皿ごと蒸す料理、家族分のたっぷり蒸し料理 | やや大きめでシンクや収納の確保が必要 |
杉や白木と竹の素材の違い
せいろの素材には主に「杉」「竹」「ヒノキ」などがあります。それぞれに特徴があり、価格や耐久性、香りの立ち方が異なります。初めて購入するなら、ご自身の予算や好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
最も手頃な価格で手に入り、初心者さんに人気があるのは「杉」や「竹」です。杉は木の香りが豊かで温かみがあり、竹は抗菌性に優れ丈夫でカビにくいという特徴があります。
長く一生モノとして使い込みたいなら、高価ですが狂いが少なく耐久性が抜群の「ヒノキ」が憧れの存在です。最初は扱いやすく手頃な扱いやすい竹製や杉製のせいろセットからスタートするのがおすすめです。
段数を増やせる2段のメリット
せいろを購入する際は、本体が1段だけのものよりも、「2段セット」を選ぶことを強くおすすめします。
せいろは上に重ねて使う構造になっているため、ひとつの鍋の蒸気で同時に2段分の料理を仕上げることができます。
例えば、下の段には火が通りにくい根菜類やお肉を敷き詰め、上の段にはすぐに火が通る青菜やシュウマイを乗せるといった使い分けが可能です。
同じ時間で主菜と副菜が同時に完成するため、夕食作りの時短効果は絶大です。家族の食事時間がずれる場合も、1段ずつ時間差で温め直すといった柔軟な使い方ができます。
2段を活用すれば、下段で豚肉の蒸ししゃぶ、上段で温野菜や卵を蒸すなど、15分の加熱で献立のメインとサブが一度に揃います。
使用後のお手入れと保管方法
せいろを長く清潔に使い続けるための最大の関門が、使用後のお手入れです。
「お手入れが難しそう」と敬遠されがちですが、実はフライパンを洗うよりも作業自体はシンプルです。鉄則を守って大切に扱っていきましょう。
洗剤を使わない水洗いの基本
使い終わったせいろを洗うとき、絶対に食器用洗剤を使ってはいけません。木肌が洗剤の界面活性剤や香料をぐんぐん吸い込んでしまい、水ですすいでも抜けなくなってしまいます。
野菜を蒸しただけなら、油分はほとんど付着していませんので、固く絞った濡れふきんで内側と外側を丁寧に水拭きするだけで十分です。
肉の脂やタレがすだれに付いてしまったときは、お湯または水を流しながら、たわしを使って木目に沿ってやさしくこすり洗いをしてください。
汚れを掻き出すには、スポンジよりも天然素材の繊維がしっかりしたパームたわしが一番使い勝手が良いですよ。
食器用洗剤の使用はもちろん、食洗機や食器乾燥機の使用も厳禁です。急激な熱風乾燥によって木が割れたり接着が剥がれたりして使えなくなってしまいます。
カビを防ぐ陰干しの乾かし方
洗い終わったら、とにかくしっかりと乾燥させることが何よりも大切です。洗ったあとの濡れたせいろをそのまま放置したり、密閉された戸棚にしまったりすると、数日で黒カビが生えてしまいます。
水分を乾いた清潔なタオルでしっかり拭き取ったら、風通しのよい日陰に立てかけて干します。
底面の竹すだれの隙間まで風が通り抜けるよう、せいろ本体を少し斜めに立てかけたり、格子状のラックの上に置いたりするのが理想的です。最低でも丸一日は干して、木の芯まで完全に乾かしきってください。
風通しのよい場所での保管法
完全に乾いたあとの保管場所も重要なポイントです。キッチンのシンク下の収納や、扉のついた密閉棚は湿気がこもりやすいため、せいろの保管場所としては向いていません。
引き出しの中にビニール袋に入れて保管するような行為も、袋の中に湿気が閉じ込められてカビの温床になるため避けてください。
一番のおすすめは、キッチンのオープン棚やカウンターの上にそのまま出しておく「見せる収納」です。あるいは、麻ひもやフックを使ってキッチンの壁に吊るしておくのも通気性が保たれて安心です。
普段から目に留まる場所に出しておくと、使うハードルがぐっと下がり、自然と毎日の料理で活用できるようになりますよ。
せいろの使い方に関するよくある質問(FAQ)
Q1. せいろに黒い斑点が出てきましたが、これはカビでしょうか?
A. 表面にポツポツと広がる黒い斑点は黒カビの可能性が高いです。一方で、木材に含まれるタンニンなどの成分が鉄分や水分と反応して自然に変色した「黒ずみ」の場合もあります。カビの初期段階であれば、薬局で手に入る消毒用エタノールを吹きかけて日陰で徹底的に乾燥させるか、紙やすりで表面を軽く削ることで対処できる場合がありますが、深くまで菌糸が入り込んでいる場合は衛生面を考慮して買い替えを検討してください。
Q2. 蒸し板がないと家庭用の普通の鍋では使えませんか?
A. せいろの底の直径とお鍋の内径がぴったり一致していて、せいろが傾かずに安定するサイズであれば、蒸し板がなくても問題なく使えます。ただし、お鍋のサイズが少しでも合わないと、せいろが落下してお湯に浸かったり、隙間から蒸気が漏れて火傷や加熱不足の原因になります。またガス火の焦げ防止にもなるため、一枚持っておくとどんな鍋でも使えて重宝しますよ。
Q3. 料理に木の匂いが移って気になるのですがどうすればいいですか?
A. 使い始めの時期は素材特有の木の香りが強く出ることがあります。気になる場合は、キャベツの外葉やネギの青い部分など、香りのある野菜くずを入れて15分ほど空蒸しを繰り返してみてください。野菜の成分が余分なアクを吸着して匂いを和らげてくれます。何度も使っていくうちに自然と木の香りは落ち着き、料理の邪魔をしなくなりますので安心してくださいね。
Q4. IHクッキングヒーターでもせいろを使うことはできますか?
A. もちろん問題なく使えます。IH対応の深鍋を用意し、その上にお湯を沸かしてせいろを乗せればガス火と同様にしっかり蒸し上がります。IHは直火の炎が出ないため、せいろの側面が炎で焦げるリスクがガス火よりも圧倒的に少ないという嬉しいメリットもあります。ただし空焚きだけは同じように危険ですので、水の量には十分注意してください。
毎日の食卓を豊かにするせいろ
せいろのある暮らしは、想像しているよりもずっと手軽で、忙しい毎日にゆとりを運んでくれます。最初の準備と基本的な扱い方さえ知っていれば、難しいテクニックは一切必要ありません。
最後に、せいろを上手に使いこなすための大切なポイントを振り返っておきましょう。
- 使い始めは水通しと空蒸しで下準備を済ませる
- 調理前は必ず全体を水で濡らして匂いと焦げを防ぐ
- 鍋のお湯がしっかり沸騰してからせいろを乗せる
- 蒸している間はお湯の残量と中火〜強火の火力を維持する
- 使用後は洗剤を使わずに水洗いし陰干しで完全乾燥させる
冷蔵庫にあるありあわせの野菜やお肉を並べて、お湯を沸かした鍋に乗せるだけ。たったそれだけで、素材の滋味がぎゅっと詰まった、心も体も温まる食卓が完成します。
あなたもぜひ、蒸気と木の香りに包まれる心地よい料理時間を始めてみてくださいね。

