スーパーの鮮魚コーナーでお手頃ないわしを見かけると、「骨まで柔らかく煮た魚料理を作って家族に食べさせたいな」と思う瞬間はありませんか。
いわしは栄養たっぷりで家計にも優しい優秀な青魚ですが、小骨が多くて子どもが食べにくそうにしたり、煮崩れてしまったり、生臭さが残ったりと、フライパンやお鍋で作るには少しハードルが高い魚でもありますよね。
そんなときに頼りになる調理器具が圧力鍋です。高温高圧でしっかり加熱すれば、太い中骨までホロホロに柔らかくなって丸ごと残さず食べられます。
カルシウムを逃さず摂れるのは、元栄養士としても本当におすすめしたい調理法。とはいえ、「梅煮・生姜煮・甘露煮ってそれぞれ調味料を入れるタイミングや煮詰め方がどう違うの?」「加圧しただけで味がしっかり染み込むの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
いわしの圧力鍋調理には共通する確実なルールがあります。それは「骨を柔らかくする圧力調理」と「煮汁を含ませて味を決める煮込み仕上げ」の工程をしっかり分けること。
この基本さえ押さえてしまえば、同じ圧力鍋を使って基本の調味バランスを変えるだけで、爽快な梅煮、すっきり香る生姜煮、照りつやが美しい濃厚な甘露煮の3品を誰でも迷わず作り分けられるようになります。
- いわしの下処理と臭みを消す下ごしらえの基礎
- 圧力調理と煮詰めの二段階で作る味付けの黄金ルール
- 梅煮・生姜煮・甘露煮の詳しい分量と作り分けのコツ
- 骨まで柔らかく仕上げる加圧時間の目安と失敗対策
圧力鍋で作るいわし煮付けの魅力
普段の煮魚と圧力鍋で作る煮魚には、仕上がりや手軽さに決定的な違いがあります。まずは、なぜいわし料理に圧力鍋を使うと劇的においしく仕上がるのか、栄養面と調理効率の両面から魅力を見ていきましょう。
骨まで食べられる驚きの柔らかさ
いわしを普通のお鍋で煮ると、身は柔らかくなっても中骨や小骨はしっかり残ってしまいますよね。大人なら上手に避けながら食べられますが、小さなお子さんやご年配のご家族がいる食卓では、骨が喉に刺さらないかハラハラしてしまうこともあるはずです。
そこで密閉状態で庫内を100度以上の高温・高圧に保てる圧力鍋の出番です。圧力をかけてじっくり組織を加熱していくことで、硬い主骨のカルシウムとコラーゲン繊維がほぐれ、指でつまむだけでホロリと崩れるほど柔らかくなります。
口の中で骨が全く気にならなくなるため、魚の骨が苦手な子どもでもスプーンでパクパク食べられるようになりますよ。
まるごと摂取できるカルシウムと栄養
栄養士の視点からお伝えすると、いわしはたんぱく質だけでなく、骨の形成に欠かせないカルシウムやビタミンD、血液サラサラ成分として知られるDHAやEPAが凝縮された素晴らしい食材です。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のデータを見ても、青魚を骨ごと摂取した際のカルシウム吸収効率は非常に高いことが分かります。
普通なら取り除いて捨ててしまう骨や血合い周辺の部分まで余すところなく食べられるため、栄養のロスがほとんどありません。育ち盛りのお子さんのおかずにはもちろん、大人の骨粗しょう症予防や日頃の栄養補給としても、圧力鍋で煮たいわしは最高の常備菜になってくれます。
まるごと食べる栄養メリット
・骨を捨てずに食べることで、普段の煮魚に比べて格段に多くのカルシウムを摂取できます。
・脂に溶け出したいわしの良質な不飽和脂肪酸(DHA・EPA)も煮汁ごと上手に活用できます。
短時間調理で時短と光熱費の節約
普通のお鍋で魚の骨を柔らかく煮ようとすると、弱火で2時間から3時間以上コトコト煮込み続けなければなりません。長時間の煮込みは吹きこぼれや焦げ付きの心配がつきまとうだけでなく、ガス代や電気代もかさみますよね。
しかし、圧力鍋なら実際の加熱時間は加圧中の15分から25分程度で十分。ピンが上がって圧力がかかったら弱火にしてタイマーをセットするだけなので、火の前にずっと張り付いている必要もありません。家事や子育てで忙しい夕方の時間帯でも、手軽に本格的な和食のおかずが完成します。
いわしの下処理と臭み抜きの基本
圧力鍋はいわしを柔らかくする頼もしい道具ですが、密閉して加熱する分、魚の生臭さも鍋の中に閉じ込めやすい特徴があります。「圧力鍋で煮たらなんだか生臭くなってしまった」という失敗を防ぐために、下処理と下ごしらえのひと手間をしっかり確認しておきましょう。
うろこと内臓を丁寧に取り除く手順
買ってきたイワシをパックから出してそのまま煮汁に入れてしまうのは禁物です。魚の臭みの最大の発生源は、皮表面に残った細かなウロコと、お腹の中に残っている内臓・血合いにあります。
まずはいわしの頭を包丁で落とし、斜めに刃を入れて内臓をかき出します。頭を残したい場合でも、エラぶたと内臓だけは必ず綺麗にかき出してください。
流水でお腹の中を洗い流す際は、背骨のすぐ下にある赤黒い「血合い(腎臓)」の筋を指先や歯ブラシで綺麗にこすり落とすのがプロも実践する臭み抜きの基本ポイント。ここを真っ白になるまで洗うだけで、仕上がりの雑味が驚くほど消え去ります。
塩を振って余分な水分とドリップを抜く
内臓を洗ったら、キッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取り、全体に軽く塩を振ってバットに並べます。そのまま10分ほど置いておくと、浸透圧の働きでいわしの表面にじんわりと水分(ドリップ)が浮き出てきます。
この浮き出てきた水分こそが、魚特有の生臭さを含んだ液体です。清潔なペーパーでこの水分をぎゅっと押さえるように拭き取ってから鍋に入れることで、煮汁の味がぼやけず、魚の身が引き締まって煮崩れもしにくくなります。ほんの10分の待ち時間ですが、仕上がりの美味しさに雲泥の差が出ますよ。
熱湯をかける霜降りでぬめりを落とす
さらにワンランク上のすっきりした味わいに仕上げたいなら、熱湯を回しかける「霜降り」を工程に加えましょう。ざるに並べたいわしの上から、沸騰したお湯をサッとかけて表面を白くさせます。
熱湯をかけることで皮の表面にある酸化した脂やぬめりが凝固し、水で優しくなでるだけで簡単に洗い落とせるようになります。皮が破れないように冷水に取り、ぬめりを指の腹でそっと落としてから水気を拭き取れば、下ごしらえは完璧です。
◆ワンポイントアドバイス
スーパーで鮮魚コーナーの店員さんに「頭と内臓を取ってください」とお願いすれば、下処理の手間を半分以上減らせますよ。おうちでは血合いをサッと洗って水気を拭き取るだけで済むので、忙しい日は無理せず下処理済みのアラや筒切りを活用しちゃいましょう。
失敗しない味付けと煮込みの黄金ルール
いわしの煮付けを圧力鍋で作るとき、最も多くの人がつまずくのが「味付けのタイミング」です。なぜ普通の煮物と同じように調味料を入れて加圧するだけでは上手くいかないのか、その理由と解決策を解説します。
圧力調理と煮詰めの二段階アプローチ
「圧力鍋で煮たら、骨は柔らかくなったけれど味が薄くて水っぽい」「逆に最初から煮詰める分量の調味液を入れたら底が焦げ付いてしまった」という経験はありませんか。
圧力鍋は蒸気を外に逃がさない密閉構造のため、調理中に水分がほとんど蒸発しません。
そのため、骨を柔らかくするための「加圧工程」では水分を多めにして焦げ付きを防ぎ、圧力が下がってフタを開けたあとの「煮詰め工程」で水分を飛ばしながら照りと味を絡める、という二段階のアプローチが鉄則になります。
二段階アプローチの流れ
1. 【加圧調理】:多めの煮汁(水・酒・みりん・薄めの醤油)でしっかり骨まで柔らかくする。
2. 【減圧・フタ開け】:ピンが下がったらフタを開け、いわしの身を崩さないように確認する。
3. 【煮詰め】:強めの火加減で煮汁を好みの濃度まで煮詰め、魚の表面に煮汁を回しかけて艶を出す。
落としぶたを活用して身崩れを防ぐ
圧力鍋の内部では、高圧状態から減圧していく過程で激しい対流が起こります。魚同士がぶつかり合うと、せっかく柔らかくなった身がボロボロに崩れてしまうことも。
これを防ぐ便利な道具が、クッキングシートやアルミホイルで作る「落としぶた」です。
中央に直径1センチほどの蒸気穴を開けたクッキングシートをいわしの上に直接乗せてから圧力鍋のフタを閉めると、魚が中で踊るのを防いで綺麗な姿のまま煮崩れを防止できます。さらに煮汁がシートの下を循環するため、少なめの煮汁でも均一に火が通るという嬉しい相乗効果もあります。
冷める工程で味を芯まで染み込ませる
煮物の味は「加熱しているとき」ではなく「温度が下がっていくとき」に素材の内部へと染み込んでいきます。加熱中は素材の水分が外へ出ようとする力が働きますが、冷める過程では逆に煮汁をグングン内部へ吸い込む性質があるためです。
できあがった熱々のいわしをすぐに食べるのも美味しいですが、一度火を止めて常温までゆっくり冷ます時間を設けてみてください。
中骨の芯まで味がしっかりと染み渡り、翌日のお弁当やおつまみにもぴったりな深いコクが生まれます。食べる直前に温め直すだけで、料亭のような仕上がりを楽しめますよ。
いわしの梅煮の作り方とさっぱり仕上げる技
脂の乗ったいわしを爽快に楽しむなら、梅干しの酸味を効かせた「いわしの梅煮」が一番です。梅干しに含まれるクエン酸には魚の臭みを消す効果だけでなく、骨をさらに柔らかくする働きもあります。
梅干しの選び方と崩し方のポイント
いわしの梅煮に使う梅干しは、甘味料や添加物の少ない、昔ながらの塩分濃度10〜15パーセント程度の「白干し梅」や「赤しそ梅」が最適です。はちみつ梅を使うと煮汁が甘くなりすぎて味がぼやけてしまうため、酸っぱさがしっかり残っているものを選びましょう。
梅干しは丸ごと鍋に入れるだけでなく、1〜2個は種を取り除いて包丁で粗く叩いてから煮汁に溶かし込むのがコツです。残りの梅干しは形を残したままいわしの隙間に配置して一緒に煮込むことで、煮汁全体に爽快な酸味が広がりつつ、付け合わせとしても美味しく味わえます。
梅煮の材料と黄金比の調味料
いわし4〜6尾(約400g〜500g)に対する、梅煮の黄金比レシピです。酸味と甘みのバランスが取れた、すっきりした飽きのこない味わいに仕上がります。
| 材料名 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| いわし | 中サイズ 4〜6尾 | 頭と内臓を除いて約400g |
| 梅干し | 2〜3個 | 塩分10〜15%のもの |
| 水 | 150ml | 鍋の必要最低水分量に合わせる |
| 酒 | 100ml | 料理酒または清酒 |
| みりん | 大さじ2 | 優しい甘みと照り付け |
| 醤油 | 大さじ2強 | 濃口醤油 |
| 砂糖 | 大さじ1 | きび砂糖でも可 |
手順と爽やかな酸味を残す仕上げ
下処理を終えたいわしを圧力鍋の底に重ならないように並べ、水、酒、みりん、砂糖、醤油、そして梅干しを加えます。真ん中に穴を開けたクッキングシートで落としぶたをし、圧力鍋のフタをしっかりロックして火にかけましょう。
高圧タイプの圧力鍋なら加圧時間約15分〜20分、普通圧なら約25分加圧し、火を止めて自然減圧を待ちます。ピンが下がったらフタを開け、中火にして煮汁をスプーンですくいながらいわしの表面に回しかけてください。
煮汁が少しとろりとして泡が細かくなってきたら火を止めます。煮詰めすぎると梅の爽快な香りが飛んでしまうので、少し煮汁が残る程度で止めるのが上品に仕上げるコツです。
いわしの生姜煮の作り方と香りを引き立てるコツ
甘辛い王道の味付けでご飯が何杯でも進む「いわしの生姜煮」。生姜の爽快な辛味と香気成分(ジンゲロールやショウガオール)が、青魚特有の脂っこさを心地よく中和してくれます。
生姜を千切りと薄切りで使い分ける
生姜煮を作るとき、生姜をどう切るかで風味の広がり方がガラリと変わります。おすすめは「薄切り」と「千切り(針生姜)」の両方を使い分けるスタイルです。
皮付きのままスライスした薄切り生姜は、圧力鍋で加熱する段階からいわしと一緒に煮込みます。じっくり圧力をかけることで生姜のエキスが煮汁全体に溶け込み、魚の芯まで生姜の風味が染み渡ります。
一方、細く刻んだ千切り生姜は、最後の煮詰めの段階で加えたり、盛り付けたあとの天盛りにしたりすると、シャキシャキとした食感とフレッシュな香りのアクセントが楽しめます。
ご飯が進む王道の甘辛黄金比
生姜煮は梅煮よりも醤油とお砂糖を少ししっかり効かせた、濃いめの味付けがよく合います。いわし4〜6尾に対する調味バランスは以下の通りです。
| 材料名 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| いわし | 中サイズ 4〜6尾 | 下処理後の重量約400g |
| 生姜 | 2片(約20〜30g) | 半分は薄切り、半分は千切り |
| 水 | 150ml | 焦げ付き防止の基本水分 |
| 酒 | 80ml | 臭み消しとコク出し |
| みりん | 大さじ2 | まろやかな甘味 |
| 醤油 | 大さじ3 | しっかり味を付ける濃口 |
| 砂糖 | 大さじ2 | コクのある甘みを演出 |
加熱時間と煮汁を絡める仕上げ工程
鍋底に薄切り生姜を散らし、その上に下処理したいわしを並べます。水、酒、みりん、砂糖、醤油を回し入れ、落としぶたをして加圧開始です。加圧時間は高圧で約20分、普通圧で約25分を目安にしてください。
自然減圧後にフタを開けたら、千切り生姜の半量を投入し、火を中火からやや強火にして煮汁を煮詰めていきます。フライ返しやお玉でいわしを触ると身が崩れてしまうため、鍋をゆっくり傾けながら煮汁をすくい、いわし全体に何度も回しかけるのがプロの技。
煮汁の量が最初の3分の1程度になり、つややかな泡が立ってきたら完成です。器に盛り付け、残りの千切り生姜をふわりと乗せて食卓へ運びましょう。
いわしの甘露煮の作り方と照りつやを出す方法
お正月のおせち料理や保存食としても親しまれている「いわしの甘露煮」。飴色に輝く照りと、ぎゅっと凝縮された濃厚な甘辛さは、お弁当のおかずやお酒の肴としても絶品です。
飴色の照りとコクを生む調味バランス
甘露煮の最大の特徴は、水飴や多めのみりんを使った濃厚な甘みと強い粘度です。一般的な生姜煮に比べて糖分の割合が高いため、煮汁が冷めたときに美しい膜を張り、身の表面を乾燥から守る効果もあります。
ただし、ここで注意しなければならないのが「糖分が多い煮汁は非常に焦げ付きやすい」という点です。
最初から砂糖やみりんを大量に入れた状態で高圧加熱してしまうと、鍋底の温度が上がりすぎて圧力がかかる前に焦げ付いてしまう危険があります。そのため、甘露煮こそ「加圧時の基本調味料」と「仕上げ用の甘味」を分けるテクニックが生きてきます。
焦げ付き防止の注意点
水飴や蜂蜜は粘度が高く鍋底に沈みやすいため、圧力鍋のフタを閉めて加圧する段階では絶対に入れないでください。必ず加圧が終わり、フタを開けて煮詰める最後の仕上げ段階で加えましょう。
甘露煮の材料と分量一覧
保存性を高め、骨までしっかり柔らかくするための甘露煮レシピです。いわし4〜6尾(約400g)を目安としています。
| 材料名 | 分量 | 加えるタイミング |
|---|---|---|
| いわし | 4〜6尾 | 最初(鍋底に並べる) |
| 水 | 150ml | 加圧時 |
| 酒 | 100ml | 加圧時 |
| 酢 | 大さじ1 | 加圧時(骨を柔らかくする補助) |
| 醤油 | 大さじ3 | 加圧時 |
| 砂糖・ざらめ | 大さじ2 | 加圧時 |
| みりん | 大さじ2 | 仕上げの煮詰め時 |
| 水飴(またはハチミツ) | 大さじ1〜2 | 仕上げの煮詰め時 |
じっくり煮詰めて照りを出す手順
いわし、水、酒、酢、醤油、砂糖を鍋に入れ、落としぶたをしてフタを閉めます。酢を加えることで骨の脱灰が進み、よりホロホロに崩れやすくなりますよ。加圧時間は約20分〜25分設定し、自然減圧を待ちます。
フタを開けたらみりんと水飴を加え、弱火から中火にかけてゆっくり煮詰めていきましょう。木べらなどで魚に触れると崩れてしまうので、スプーンで濃厚な煮汁をすくっていわしの頭から尾まで優しくかけ続けます。
煮汁にとろみがつき、細かい気泡が鍋全体を覆うようになったら火を止めてそのまま冷まします。冷めていく過程で水飴が固まり、まるで料亭の佃煮のような見事な飴色の照りが現れます。
◆ワンポイントアドバイス
甘露煮はお弁当のおかずに最高です。しっかり煮詰めて糖分と塩分を行き渡らせているので、清潔な保存容器に入れて冷蔵保存すれば4〜5日は美味しさをキープできますよ。週末に作り置きしておくと、平日の朝ごはんやお弁当作りがグッと楽になります。
圧力鍋で作るいわし3種の味わい比較
梅煮、生姜煮、甘露煮の3つの料理は、同じいわしと圧力鍋を使っていながら、仕上がりの味付けや食感、活躍するシーンが全く異なります。日々の食卓に合わせてどれを作るか迷ったときは、以下の比較表を参考に選んでみてください。
| 料理名 | 味付けの特徴 | 仕上がりの食感 | おすすめのシーン |
|---|---|---|---|
| いわしの梅煮 | 爽快な酸味、あっさり後味 | ふっくらジューシー | 夏の食欲不振時、疲れた日の晩酌 |
| いわしの生姜煮 | 王道の甘辛、ピリッとした香り | 程よい身の締まりと柔らかさ | 毎日の夕飯、白ご飯のおかず |
| いわしの甘露煮 | 濃厚な甘辛、飴色のコク | 身がギュッと締まり骨までホロホロ | 作り置き、お弁当、おせち料理 |
脂がたっぷりと乗った大ぶりの真いわしが手に入ったときは爽やかな「梅煮」、普段の食卓で家族みんなでモリモリご飯を食べたいときは「生姜煮」、小ぶりのいわしがたくさん安く手に入ったときはまとめて「甘露煮」にするなど、素材の状態や用途に合わせて作り分けるのがおすすめですよ。
骨まで柔らかく煮る加圧時間と注意点
圧力鍋を使って魚を調理する際、最も大切なのが安全面と加圧時間の見極めです。お使いの調理器具の特性を理解して、安全かつ確実に骨を柔らかく仕上げましょう。
高圧と低圧での加熱時間の違い
圧力鍋には、主に高圧(100kPa以上)と低圧(60〜80kPa程度)の切り替えができるタイプや、電気圧力鍋のように自動制御されるタイプがあります。いわしの骨まで柔らかくするためには、鍋の気圧性能に合わせた時間設定が欠かせません。
一般的な目安として、高圧タイプのステンレス圧力鍋であれば、加圧ピンが上がってから弱火にして15分〜20分の加圧で十分骨まで柔らかくなります。
一方、低圧タイプや扱いやすい電気圧力鍋を使用する場合は、25分〜30分程度じっくり加圧時間を確保するのが安心です。
もし加圧後に太い骨を触ってみて少し硬さが残っているようなら、煮汁が十分に残っていることを確認した上でもう一度5分〜10分追加加圧を行ってください。
蒸気ノズルの目詰まりを防ぐ安全管理
魚料理を圧力鍋で作る際に最も注意したいのが、煮汁の泡立ちによる蒸気ノズルの目詰まりです。魚から溶け出したたんぱく質や調味料の糖分は激しく泡立ちやすく、ノズルに泡が届いて詰まってしまうと、重大な事故につながる恐れがあります。
事故を防ぐためにも、食材と煮汁の合計量は鍋の内側に刻まれている最大調理量線(通常は深さの3分の2、豆類や泡立つものは3分の1)を絶対に超えないように守ってください。また、粘り気の強いルーや多量の水飴を入れたまま加圧しないこと、調理前にフタの安全弁やパッキンに汚れがないか点検することを習慣づけましょう。
急冷を避けて自然減圧を待つ重要性
「早く食べたいから」といって、ピンが上がっている状態で圧力鍋に水をかけたり、蒸気排出バルブを無理に回して急激に減圧させるのは絶対にやめましょう。急減圧を行うと、鍋の中で煮汁が一気に激しく沸騰(突沸)し、いわしの柔らかい身が粉々に砕け散ってしまいます。
火を止めたら、ピンが自然に下がるまでそのまま15分〜20分ほど静かに放置(自然放置減圧)してください。この余熱時間こそが、いわしの骨の芯までじっくり熱を行き渡らせ、柔らかさを一段と高める大切な調理時間になります。安全面からも美味しさの面からも、自然減圧を待つのが最も確実です。
いわしの圧力鍋調理に関するよくある質問(FAQ)
Q1. いわしの頭や内臓を取らずにそのまま圧力鍋で煮ても大丈夫ですか?
A. 小さな稚魚なら丸ごと煮ることもありますが、一般的なスーパーで売られているいわしの場合は、頭と内臓を必ず取り除くことをおすすめします。内臓やエラ、血合いには強い生臭みや苦味の原因が含まれており、圧力鍋の密閉空間で一緒に煮込むと煮汁全体に嫌な臭いが移ってしまいます。頭を落としてお腹を綺麗に洗うことが、美味しい煮魚を作る一番の近道ですよ。
Q2. 圧力鍋で煮たいわしの骨がまだ硬いときはどうすればいいですか?
A. 加圧時間不足やいわしのサイズが大きかった場合、骨が硬く残ることがあります。その際は、鍋底の煮汁が焦げ付かない量(底から1cm以上)残っているかを確認し、少なければ水や酒を少し足してから、再度フタをして5分〜10分追加で加圧してください。無理にそのまま食べず、しっかり再加圧すれば確実にホロホロになります。
Q3. 電気圧力鍋でも普通の圧力鍋と同じレシピで作れますか?
A. 基本の調味料の割合はそのままで美味しく作れます。ただし、電気圧力鍋はガス火の高圧タイプに比べて作動圧力がやや低めに設定されている機種が多いため、加圧時間を5分〜10分ほど長め(25分〜30分程度)に設定するのが失敗を防ぐコツです。加圧終了後は同様に自然減圧を待ち、フタを開けてから「煮込みモード」等で水分を飛ばしてください。
Q4. 完成したいわしの煮付けは冷蔵庫で何日くらい保存できますか?
A. 清潔な密閉容器に入れ、粗熱を取ってから冷蔵庫で保存する場合、梅煮や生姜煮なら約3〜4日、糖分と塩分がしっかり入った甘露煮なら約4〜5日が保存の目安です。冷凍保存する場合は、煮汁ごとジッパー付き保存袋に入れて空気を抜いて密閉すれば、約2〜3週間美味しく保存できますよ。
圧力鍋で作るいわし料理のまとめ
圧力鍋を上手に使いこなせば、小骨が多くて敬遠されがちないわしも、頭からしっぽまで骨ごと柔らかく食べられる最高のごちそうに生まれ変わります。骨を柔らかくする加圧調理と、照りと味を絡める煮詰め仕上げをしっかりと分けることさえ意識すれば、味の薄まりや身崩れの失敗はもう起こりません。
さっぱり爽快に食べたい日の「梅煮」、ご飯が何杯でも進む定番おかずの「生姜煮」、そして照りつや豊かで作り置きにも最適な「甘露煮」。それぞれ調味バランスと仕上げのひと工夫を変えるだけで、同じ圧力鍋から多彩な味わいを楽しめます。スーパーで新鮮でお得ないわしを見かけたら、ぜひ今晩の食卓に栄養満点な骨まで食べられるいわし煮を作ってみてくださいね。

