いわしを食卓に出したいけれど、小骨が多くて家族や子どもが嫌がったり、下ごしらえや加熱の加減が難しくて身がボロボロになったりした経験はありませんか?
カルシウムたっぷりの青魚を丸ごと美味しく食べてもらいたいとき、頼りになる調理器具が圧力鍋です。高温高圧でじっくり火を通すことで、硬い背骨までホロホロに柔らかくなり、骨を気にせずパクパク食べられるようになります。
とはいえ、圧力鍋を使い慣れていないと「加圧時間は何分にすればいいの?」「生臭さが残らないか心配」「身が崩れて煮汁が濁ってしまった」と悩んでしまうことも珍しくありません。魚の大きさや脂ののり具合、使っている鍋の圧力値によって仕上がりは変わるため、コツを押さえておくことが大切です。
私自身、元栄養士として家族の健康を考えながら日々の料理を作っていますが、いわしの煮付けは圧力鍋の得意分野だと実感しています。ちょっとした下処理のポイントや火加減の工夫を知っておくだけで、失敗の不安はぐっと減りますよ。
- いわしを骨まで柔らかく煮るための基本的な下処理手順
- 魚の大きさや鍋の種類に合わせた失敗しない加圧の目安
- 身崩れや煮崩れを防ぎながら味をしっかり染み込ませるコツ
- 余った煮汁や煮付けを飽きずに楽しむアレンジの工夫
圧力鍋でいわしを煮る魅力と基本
圧力鍋を使って魚を煮る最大のメリットは、短時間で骨まで柔らかく仕上がることと、栄養を逃さず丸ごといただけることです。まずは、なぜ圧力鍋がいわし料理に向いているのか、その理由を見ていきましょう。
小骨も背骨も丸ごと食べられる理由
普通の鍋で魚を煮る場合、お湯の温度は100度までしか上がりません。この温度だと、いくら何時間もコトコト煮込んでも、太い中骨や背骨の主成分であるカルシウムやコラーゲン結合組織を十分に軟化させるのは至難の業です。
その点、密閉して内部の気圧を高める圧力鍋なら、内部温度を約115度から120度近くまで引き上げられます。高温の蒸気と圧力が魚の中心部までしっかり行き渡るため、硬い骨組織が短時間でほぐれ、指で押せば崩れるほど柔らかくなる仕組みです。
お魚の骨が苦手なお子さんや、カルシウムをしっかり補給したい成長期の子どもがいるご家庭にとって、骨ごと食べられる煮付けは本当に心強いおかずになりますよ。
普通の鍋での調理との違いと時短効果
普通の鍋で魚の骨を柔らかくしようとすると、弱火で3時間から4時間以上も煮込み続ける必要があります。それだけ長い時間火にかけると、吹きこぼれや焦げ付きの心配がつきまといますし、ガス代や電気代も気になってしまいますよね。
一方、圧力鍋を活用すれば、実際の加圧時間は20分から30分程度、前後の加熱と圧力が抜けるまでの時間を合わせても1時間足らずで仕上がります。調理時間が大幅に短縮できるだけでなく、鍋の前にずっと張り付いている必要もありません。
家事や育児、仕事で忙しい平日の夕方でも、スイッチや火の番を最小限に抑えて本格的な魚料理が完成するのは大きな魅力ですね。
丸ごと食べる栄養面での大きなメリット
いわしをはじめとする青魚には、現代人に不足しがちな栄養素がぎっしり詰まっています。骨ごと食べることで得られる最大の恩恵は、なんといっても豊富なカルシウムです。
さらに、青魚の脂に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった良質な脂肪酸は、加熱による酸化を防ぎながら煮汁と一緒に摂取できます。骨の周りにある旨味成分やコラーゲンも余すことなく味わえるため、栄養面でも美味しさの面でも無駄がありません。
缶詰のように骨まで柔らかいいわし煮が自宅の台所で手軽に作れるのは、毎日の献立作りにおいて本当に助かるポイントかなと思います。
失敗しないいわしの下処理と臭み消し
圧力鍋調理でよくある失敗のひとつが、「出来上がりの生臭さが気になる」というお悩みです。密閉して調理する圧力鍋は香りがこもりやすいため、調理前の下処理が味の決め手になります。
頭と内臓の手早い取り除き方
いわしの生臭さの主な発生源は、内臓(ワタ)と血合いです。買ってきたらできるだけ早く、包丁を使って頭を落とし、腹を斜めに切り落として内臓をきれいに掻き出しましょう。
手開きにする方法もありますが、煮付けにする場合は筒切りや丸ごとの形を残したほうが煮崩れしにくくなります。内臓を取り除いた後は、背骨の隙間にこびりついている黒い筋や赤黒い血合いを、流水を当てながら指先や小さなスプーンでしっかり洗い流してください。
この血の塊を丁寧に落としておくだけで、煮汁の透明感と仕上がりの上品さが格段に違ってきます。
下処理の重要ポイント
内臓と背骨沿いの血合いは臭みの最大の元です。流水を細く出しながら、指の腹を使って血の筋をきれいに押し出すように洗い流しましょう。
塩振りと熱湯霜降りで臭みを落とす
水洗いを終えたら、ペーパータオルでしっかりと表面と腹の中の水分を拭き取ります。その後、いわしの表面全体に軽く塩を振り、10分から15分ほど置いてみてください。
浸透圧の働きによって、魚の余分な水分と一緒に生臭さを含んだドリップがじんわりと表面に浮き出てきます。浮き出た水分を再びペーパータオルで丁寧に拭き取るだけでも、臭みは大幅に軽減されますよ。
さらに確実を期すなら、熱湯をサッとかける「霜降り」がおすすめです。ザルに並べたいわしに80度から90度程度のお湯を回しかけると、表面の生臭い脂やぬめりが白く凝固します。その後すぐに冷水にとり、白くなった汚れを指で優しくなで落とせば、完璧な下準備の完了です。
香味野菜を活用した風味付け
煮汁に加える香味野菜も、青魚の煮付けには欠かせない名脇役です。定番の生姜は皮付きのまま薄切りにしてたっぷり加えると、爽やかな辛みとともに魚特有の脂っぽさを和らげてくれます。
生姜のほかにも、長ねぎの青い部分や梅干しを一緒に鍋へ入れるのがとても効果的です。梅干しに含まれるクエン酸には魚の臭みを抑える効果があるだけでなく、骨をより柔らかく煮崩れにくくする手助けも期待できます。
香りと酸味が加わることで、脂ののったいわしもさっぱりと食べやすくなり、食欲をそそる仕上がりになりますね。
◆ワンポイントアドバイス
生姜はチューブ入りではなく、生の生姜を皮ごとスライスして使うのがおすすめです。皮のすぐ下に香り成分が多く含まれているので、風味の立ち方が格段に良くなりますよ。
圧力鍋で作る基本のいわしの煮付け
下準備が整ったら、いよいよ圧力鍋で煮込んでいきましょう。調味料の黄金比と、鍋への並べ方を意識するだけで、家庭料理のレベルが一段上がります。
黄金比で作る定番の甘辛煮汁
いわしの煮付けに合わせる煮汁は、甘辛くコクのある味わいがご飯によく合います。配合の基本となる割合は、以下のバランスを目安にしてみてください。
| 調味料 | 分量の目安(いわし4〜6尾分) | 役割と特徴 |
|---|---|---|
| 酒 | 100ml | 臭み消しと身をふっくらさせる効果 |
| 水 | 100ml | 全体の水分量調整(煮詰まり防止) |
| 醤油 | 大さじ3〜4 | 味のベースと香ばしい風味付け |
| みりん | 大さじ3 | 自然な甘みとツヤの付与 |
| 砂糖 | 大さじ1〜2 | コクとしっかりした甘みの補強 |
圧力鍋は密閉されて蒸気が逃げにくいため、普通の鍋よりも煮汁が煮詰まりにくい性質があります。最初から濃い味付けにしすぎると後で調整が難しくなるので、気持ち薄めかなと感じる程度でスタートするのがコツです。
身崩れを防ぐ鍋への並べ方のコツ
いわしを鍋に入れるときは、魚同士が重なり合わないように底へ平らに並べるのが鉄則です。何重にも積み重ねてしまうと、加圧中に身同士が押し合って皮が破れたり、下側の魚が潰れてしまったりします。
魚の頭と尾が互い違いになるように並べると、鍋底のスペースを無駄なく均一に使えますよ。もし鍋底に対して魚の量が多くて入り切らない場合は、無理に一度で煮ようとせず、二回に分けるかひと回り大きな鍋を使うのが賢明です。
魚を取り出すときの作業性も考えて、ぎゅうぎゅうに詰め込みすぎないゆとりを持たせましょう。
詰め込みすぎに注意
規定の最大調理量(豆類や魚類は鍋の深さの3分の1から2分の1程度)を超えて具材や煮汁を入れると、蒸気ノズルが詰まる危険性があります。取扱説明書の容量制限を必ず守ってください。
クッキングシートを使った落とし蓋の工夫
並べたいわしの上に、中央に小さな穴を開けたクッキングシートやアルミホイルを落とし蓋として乗せておくと、少ない煮汁でも全体にムラなく味が回ります。
落とし蓋をすることで、加圧中に激しく泡立つ煮汁が魚の上面を優しく包み込み、煮崩れを防ぎながら味を均一に行き渡らせてくれます。木製や金属製の重い落とし蓋を使うと、圧力で魚が押し潰れてボロボロになってしまうため、必ず軽量なシート類を使用してください。
この小さなひと手間を惜しまないことが、見た目も美しくツヤのある煮付けに仕上げる秘訣ですね。
加圧時間とピンの下がり方の見極め
圧力鍋料理で最も気になるのが加圧時間の設定です。しかし、加圧時間は単一の正解があるわけではなく、魚のサイズや鍋の仕様によって変わってきます。
高圧と低圧による加圧時間の違い
ご家庭で使われている圧力鍋には、高圧タイプ(100kPa以上)と低圧タイプ(60〜80kPa程度)、あるいは切り替えができるタイプなど様々な種類が存在します。
骨まで柔らかくしたい場合、高圧鍋ならピンが上がって弱火にしてから約15分から20分前後の加圧で十分に骨が崩れる状態になります。一方、低圧鍋や電気圧力鍋の場合は、圧力がやや穏やかなため、25分から35分程度の加圧時間を確保するのが一般的です。
高圧のしっかりかかるティファールの圧力鍋などの本格モデルをお使いであれば、短時間の加圧でも素早くホロホロになりますので、お持ちの鍋の仕様を確認しながら時間を調整してみてください。
魚のサイズや太さによる時間の調整
加圧時間は鍋の性能だけでなく、いわしの大きさにも大きく左右されます。小ぶりな小いわしであれば15分程度の加圧でも骨が気にならなくなりますが、脂ののった大きな大羽いわしや太い丸干し用のサイズになると、同じ時間では骨が硬く残ってしまうことがあります。
秋口に見かける脂ののった太いいわしを調理するときは、通常よりも加圧時間を5分から10分ほど長めに設定すると失敗が少なくなります。同様に、同じ青魚である圧力鍋でさんまを骨まで煮る場合も、サンマは骨がしっかりしているため、やや長めの加圧時間を意識すると安心ですね。
素材の太さに合わせて柔軟に時間を変える感覚を持っておくと、どんな魚でも上手に煮分けられるようになります。
自然放置でじっくり圧を抜く重要性
火を止めた後、すぐに圧力を抜こうとして強制的に蒸気排出弁を開けたり、鍋に水をかけたりするのは絶対に避けてください。急激に減圧すると、鍋の中で煮汁が激しく沸騰して魚の身が粉々に砕け散ってしまいます。
火を止めたら、圧力表示ピンが自然に下がるまで、余熱を利用しながらじっくり放置するのが正解です。この自然放置の時間(約15分から20分)こそが、魚の骨を芯まで柔らかくし、煮汁の旨味を身の内側へと染み込ませる大切な熟成タイムになります。
ピンが完全に下がり、内部の圧力が抜けたことを確認してから、ゆっくりとフタを開けるようにしましょう。
減圧は焦らず自然に
急な減圧は煮崩れの主原因です。火を消した後の余熱調理時間を計算に入れておくことで、身の形をきれいに保ったまま骨だけを柔らかくできます。
骨が硬いときや煮崩れ時のリカバリー
どれだけ丁寧に手順を踏んでも、実際にフタを開けてみたら「思ったより骨が硬かった」「身が崩れてしまった」というアクシデントは起こり得ます。そんなときも慌てずに対処すれば大丈夫です。
フタを開けて骨の柔らかさを確認する方法
圧力が抜けてフタを開けたら、まずは一番太いいわしの身を箸でそっと押してみるか、背骨の太い部分を少し触って硬さを確認してみましょう。
箸先で軽く押しただけで背骨がスッと崩れるようなら大成功です。もし箸で押したときに「コツッ」と固い感触が残っているようであれば、まだ骨の軟化が不十分なサインと判断できます。
盛り付ける前に必ずこのチェックを行う習慣をつけておくと、食卓に出してから家族が骨に驚くような事態を防げますよ。
再加圧で骨を柔らかくし直す手順
骨が硬いと感じた場合は、迷わず「再加圧」を行いましょう。圧力鍋の便利なところは、後からでもリカバリーが効く点にあります。
再加圧する際は、鍋底の水分が減っていないかを確認してください。水分が少なすぎると焦げ付きの原因になるため、水や酒を大さじ2〜3杯ほど足してから再びフタを密閉し、火にかけます。ピンが上がったら、弱火で追加で5分から10分ほど加圧し、再び自然放置で圧が抜けるのを待つだけです。
この二度煮の工程を踏むことで、手強い骨もしっかりと柔らかく生まれ変わります。
煮崩れてしまった場合の美味しい活用術
もし火力が強すぎたり魚が柔らかくなりすぎたりして身が崩れてしまっても、落ち込む必要はまったくありません。骨まで柔らかくなったいわしは、形が崩れていても美味しさは本物です。
身をほぐして骨ごと細かく刻み、刻み生姜やごま、大葉と一緒に温かいご飯に混ぜ込めば、絶品の「いわし混ぜご飯」に早変わりします。また、身を崩してフライパンで汁気が飛ぶまで炒りつければ、日持ちのする自家製そぼろやふりかけとしても楽しめますよ。
失敗を美味しくリメイクできるのも、家庭料理ならではの楽しさかなと思います。
◆ワンポイントアドバイス
身が崩れてしまった煮付けは、うどんやそうめんのトッピングにするのもすごく合います。崩れた身と甘辛い煮汁がつゆに溶け込んで、魚介の深い出汁が効いた極上の一杯になりますよ。
味を染み込ませて美しく仕上げるコツ
圧力調理が終わった直後の魚は、骨は柔らかくなっているものの、煮汁がまだサラサラしていて味の馴染みが浅い状態です。ここから最後の一手間で、お店のような照りと深い味わいに仕上げていきます。
フタを開けてからの煮詰めと照り出し
圧力が抜けてフタを取ったら、中火にかけて煮汁を少し煮詰めていきましょう。木べらなどで魚を触ると崩れてしまうので、スプーンでおたまを使って煮汁をすくい、魚の表面に優しく回しかけながら加熱します。
煮汁の水分が蒸発して泡が大きくなり、とろみがついてきたら火を止めます。仕上げにみりんを小さじ1杯回し入れると、魚の表面にキラリと美しい照りが生まれ、見た目にも美味しそうな艶やかな煮付けになりますよ。
この「煮詰め」の工程を入れることで、ぼやけがちな味がギュッと引き締まり、ご飯が進む味付けに仕上がります。
冷める工程で味が染み込む仕組みの活用
煮物の味は、グツグツ煮ている最中ではなく、温度が下がっていく冷める過程で素材の内部へと染み込んでいきます。これは食材の細胞が冷えるときに水分を取り込もうとする性質があるためです。
時間に余裕があるときは、煮詰めが終わった後に一度完全に冷まし、食べる直前に温め直してみてください。身の芯までしっかりと煮汁が浸透し、作りたてよりも格段に奥深い味わいになっていることに驚くはずです。
朝のうちや前日の夜に作っておけば、夕食時には温めるだけで最高に味の染みたおかずが出せるので、タイムスケジュール的にもとても効率的ですね。
崩さず綺麗に器へ盛り付ける道具の選び方
骨まで柔らかくなったいわしは、身も非常にデリケートで崩れやすくなっています。箸だけで持ち上げようとすると、自重でポキリと折れてしまうことがよくあります。
盛り付けるときは、幅の広いターナーやフライ返し、または大きめのスプーンと箸を両手に持ち、魚の底面全体を優しく支えながら器へ移動させるのが安全です。平らな形状ですくいやすい魚料理用の耐熱ターナーが一本手元にあると、身崩れのストレスなくきれいに盛り付けられます。
器に盛った後、鍋に残った煮汁をとろりとかけ、煮汁に使った生姜や針生姜、白髪ねぎを天盛りに添えれば、食卓がパッと華やぎます。
いわしの煮付け人気の味付けバリエーション
基本の甘辛醤油煮をマスターしたら、調味料や具材を変えて色々なバリエーションを楽しんでみましょう。青魚特有のコクは、様々な風味付けと相性抜群です。
さっぱり仕上がる生姜煮と梅干し煮
暑い季節や脂の強い魚をさっぱりいただきたいときは、梅干しを贅沢に使った「梅煮」が一番のおすすめです。基本の調味料に梅干しを2〜3個割り入れ、種ごと加えて加圧します。
梅のフルーティーな酸味と塩気が魚の脂を包み込み、後味が驚くほど軽やかになります。煮上がった梅干しの果肉をいわしの身に少し乗せながら食べると、酸味と旨味が口いっぱいに広がって、何杯でもご飯が食べられそうになりますよ。
生姜煮にする場合は、千切りにした生姜をたっぷり加えて、ピリッとした辛みを効かせると大人の味わいに仕上がります。
コクと旨味が増す味噌煮と生姜の組み合わせ
サバの味噌煮が定番であるように、いわしも味噌で煮ると濃厚なコクが生まれて絶品のおかずになります。味噌煮を作るときのポイントは、味噌を全量最初に入れないことです。
味噌の半量を酒やみりん、水と一緒に圧力鍋に入れて加圧調理し、圧力が抜けてフタを開けた後の煮詰め段階で残りの味噌を溶き入れます。こうすることで、味噌本来の豊かな香りを飛ばさずに、魚にしっかりとしたコクをまとわせることができます。
少し甘めの味噌ダレが生姜の風味と絡み合い、寒い冬の食卓にぴったりな体の温まる一品になりますね。
洋風に楽しむトマト煮と香味野菜の煮込み
和風の味付けに飽きてしまったら、トマト缶を使った洋風煮込みに挑戦してみるのも楽しいですよ。いわしの下処理を終えた後、オリーブオイルとニンニクで軽く香りを出した鍋にいわしを並べ、カットトマト缶、白ワイン、コンソメ、塩コショウを加えて加圧します。
トマトの自然な酸味が魚の臭みを完全に消し去り、骨まで柔らかな本格イタリアン風の煮込みが手軽に完成します。仕上げに乾燥オレガノやバジルを振ったり、粉チーズをかけたりすれば、ワインのおつまみやパンに合わせるメインディッシュとしても大活躍してくれます。
和食が苦手なお子さんでも、トマト味なら喜んで骨ごと食べてくれることが多いので、ぜひ試してみてください。
煮付けを保存する期間と温め直しの注意点
圧力鍋でまとめて作ったいわしの煮付けは、作り置きのおかずとしても大変重宝します。美味しく安全に保存するためのポイントを押さえておきましょう。
冷蔵保存できる日数と保存容器の注意
出来上がったいわしの煮付けは、完全に粗熱を取ってから清潔な保存容器に移し替え、冷蔵庫で保存します。保存期間の目安は、冷蔵で約3日から4日程度です。
保存する際は、魚の身が煮汁から飛び出して空気に触れるとパサつきや傷みの原因になるため、できるだけ煮汁に浸かった状態を保つようにしてください。密閉性の高いガラス容器やホーロー容器を使うと、魚の強い匂いが容器に移りにくく、衛生的に保ちやすいのでおすすめです。
作り置きしておけば、忙しい日のメインおかずやお弁当の隙間埋めにもサッと使えて本当に重宝しますよ。
冷凍保存の手順と解凍時のパサつき防止
4日以上保存したい場合は、冷凍保存を活用しましょう。冷凍する場合は約2週間から3週間ほど日持ちします。
冷凍するときは、いわしを1尾ずつラップでふんわりと包み、その上から煮汁を少量絡めて空気が入らないように密閉します。それらを平らなジッパー付き冷凍保存袋に入れ、金属トレイに乗せて急速冷凍するのが鮮度を保つコツです。
解凍する際は、電子レンジで急激に加熱すると身が破裂したり水分が抜けてパサパサになったりしやすいため、前日に冷蔵庫へ移してじっくり自然解凍するか、ラップを外して小鍋に入れ、弱火で煮汁とともにゆっくり温め直すのが美味しく食べるポイントです。
冷凍保存のひと工夫
身が崩れないよう、1尾ずつ優しくラップで包んでから保存袋へ入れましょう。煮汁も一緒に少し入れて密閉することで、乾燥によるパサつきをしっかり防げます。
電子レンジや小鍋を使った上手な温め直し
冷蔵庫から出して温め直す際、一番手軽なのは電子レンジですが、青魚はレンジ加熱で破裂(爆発)しやすい食材の筆頭でもあります。
電子レンジを使う場合は、耐熱皿に移してラップをふんわりとかけ、200Wから500W程度の低めのワット数で様子を見ながら少しずつ加熱してください。高出力で一気に加熱すると、皮や身が飛び散ってレンジ内を汚す原因になります。
時間があるなら、小さめのフライパンや小鍋にいわしと煮汁を移し、フタをして弱火でコトコト温め直すのが最もふっくら仕上がるのでおすすめです。
いわしの煮付けに関するよくある質問(FAQ)
圧力鍋でいわしを調理する際に、多くの方がつまずきやすい疑問や気になるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1. いわしが煮崩れてボロボロになってしまう原因は何ですか?
A. 主な原因は「急激な減圧」「鍋への詰め込みすぎ」「火加減の強さ」の3点です。加圧終了後に手動で急激に蒸気を抜くと、鍋の中で煮汁が激しく沸騰して魚の身を砕いてしまいます。火を止めた後はピンが自然に下がるまで触らずに放置し、クッキングシートの落とし蓋を活用して弱火で安定して加圧することが煮崩れ防止に繋がります。
Q2. 骨がまだ硬くて口に残る場合はどうすれば良いですか?
A. 鍋に水分が残っていることを確認した上で、フタをして再加圧を行ってください。水分が少なければ水や酒を大さじ2〜3杯足し、ピンが上がってから弱火で5〜10分ほど追加で加圧します。また、次回調理する際は、お酢や梅干しなど酸味のある食材を煮汁に加えると、酸の働きで骨がより柔らかくなりやすくなりますよ。
Q3. 電気圧力鍋でも普通の圧力鍋と同じ時間で骨まで柔らかくなりますか?
A. 電気圧力鍋は一般的なコンロ用の高圧圧力鍋に比べて作動圧力がやや低めに設計されている製品が多いです。そのため、ガスやIH用の高圧鍋で20分程度のレシピであれば、電気圧力鍋では25分〜35分程度と少し長めに加圧時間を設定するのが失敗を防ぐコツです。お使いの機種の取扱説明書の魚料理レシピも参考にしてみてください。
Q4. 圧力鍋で調理した魚の生臭さを完全に消すにはどうすればいいですか?
A. 調理前の下処理を徹底することが一番の解決策です。内臓を取り除いた後に背骨沿いの血合いをきれいに洗い流し、塩を振って出てきたドリップを拭き取ってください。さらに熱湯を回しかける「霜降り」を行い、生姜の薄切りや長ねぎの青い部分をたっぷり入れて煮込むことで、密閉調理でも臭みのないすっきりとした仕上がりになります。
まとめ
いわしを圧力鍋で骨まで柔らかく煮るためのポイントを振り返ってみましょう。
- 内臓と血合いをきれいに洗い流し、塩振りと霜降りで臭みの元をしっかり断つ
- 身崩れを防ぐため魚は鍋底に平らに並べ、軽い落とし蓋を使って弱火で加圧する
- 加圧時間は魚の太さや鍋の圧力値に合わせて調整し、火を止めた後は自然減圧を待つ
- 圧が抜けた後に煮汁を少し煮詰め、冷ましながら味を芯まで染み込ませる
小骨が多くて敬遠されがちないわしも、圧力鍋の力を借りれば頭から骨まで丸ごと美味しく食べられるご馳走になります。カルシウムや良質な脂など、青魚の豊富な栄養を余すことなく摂れるのも嬉しいですよね。
今夜のおかずに、ぜひふっくら柔らかな手作りいわしの煮付けを試してみてはいかがでしょうか。家族の笑顔が広がる食卓作りの参考になれば嬉しいです。

