肌寒い季節になると、無性に恋しくなるのが湯気たっぷりの熱々なおでんです。じっくり味のしみた大根や、お口の中でほろほろとほどける牛すじは、おでんの具材の中でも特にテンションが上がる主役級の存在かなと思います。
けれども、普通のお鍋で本格的に作ろうとすると、大根の下茹でから牛すじの煮込みまで何時間もコンロに張り付くことになり、平日の夕方や忙しい週末にはなかなかハードルが高いものですよね。
台所に立ちっぱなしで時計を眺めながら、「もっとパパッと手軽に、でも専門店みたいに奥まで味がしみたおでんを作れたらいいのに」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこで大活躍してくれる頼もしい相棒が「圧力鍋」です。圧力鍋を上手に使いこなせば、火にかける時間を大幅にカットしながら、短時間で繊維の奥まで出汁をぐんぐん浸透させることができます。
ただし、具材を全部まとめて一度に放り込んで加圧してしまうと、大根が煮崩れて出汁が濁ったり、はんぺんやさつま揚げがパンパンに膨らんでスカスカになったりといった失敗も起きがちです。
元栄養士として家族の晩ごはんを作り続けてきた私の実感としても、圧力鍋おでんを大成功させる最大の秘訣は「下処理と柔らかくする工程だけに圧力を使い、煮崩れやすい練り物は後から合わせる」というメリハリにあります。
ほんの少し段取りを工夫するだけで、短時間の調理とは思えないほど極上の仕上がりを楽しめますよ。
- 圧力鍋でおでんの大根と牛すじを時短で柔らかく煮込む基本の手順
- 具材の煮崩れや練り物の破裂を防ぐ加圧と後入れの使い分け術
- 出汁を濁らせず具材の芯までしっかり味を行き渡らせる減圧の知恵
- 失敗を回避して家族みんなが笑顔になる圧力鍋おでんの黄金レシピ
圧力鍋で作るおでんが時短になる理由
圧力鍋を使うとなぜこれほど短時間でおでんが美味しく仕上がるのか、その仕組みと普段のお鍋との違いを知っておくと、毎日の火加減や加圧時間の調整がぐっとラクになります。
短時間で芯まで柔らかくなる仕組み
普通のお鍋でお湯を沸かすと、水は約100℃で沸騰してそれ以上の温度には上がりません。そのため、根菜の硬い繊維を壊したり、お肉の頑固な結合組織をほぐしたりするには、どうしても長い時間をかけてコトコト煮込み続ける必要があります。
一方、密閉状態を作れる圧力鍋は、内部の蒸気を逃がさずに圧力を高めることで、水の沸点を約115℃から120℃前後にまで引き上げることができます。高温高圧の蒸気が具材を包み込み、硬い大根の細胞壁や牛すじの繊維の奥深くまで素早く熱を届けてくれるわけですね。
その結果、普段なら1時間以上かかる煮込み作業が、わずか数分から十数分の加圧時間で完了します。夕方の慌ただしい時間帯でも、手軽に本格的な煮込み料理をご家庭の食卓へ並べられるのが本当にありがたいところです。
大根や牛すじの下処理にかかる手間を削減
おでん作りで一番根気がいる作業といえば、大根の芯まで火を通す下茹でと、牛すじ特有の硬さを取り除く下茹でではないでしょうか。従来の方法だと、大根だけで30分、牛すじに至っては茹でこぼした後に1〜2時間じっくり煮込むのが当たり前でした。
この時間のかかる下処理工程こそ、圧力鍋が最も得意とするステージです。圧力鍋を活用すれば、大根の下茹では圧力がかかってからほんの数分、下茹で済みの牛すじを柔らかくする工程も15分前後の加圧で、驚くほど柔らかくとろける食感に変わります。
コンロを占領する時間とガス代や電気代を大幅に減らしつつ、丁寧にお店で仕込んだような舌触りを実現できるため、一度この便利さを知ってしまうと普通のお鍋には戻れなくなるかもしれません。
時短調理の要点まとめ
圧力鍋は高温高圧の力で熱を素早く芯まで届けるため、何時間もかかる根菜やお肉の下茹で時間を数分から十数分に短縮できます。下処理の負担を一気に軽くできるのが最大の強みです。
大根と牛すじを劇的に美味しくする下ごしらえ
圧力鍋はとても優秀な調理器具ですが、ただ切った具材を放り込むだけでは雑味が出たり、煮崩れてしまったりすることもあります。ちょっとした下ごしらえの手間を惜しまないことが、仕上がりの味と美しさを格段に引き上げる土台になります。
大根の面取りと隠し包丁の入れ方
大根はおでん全体の印象を左右する花形具材です。まず皮を剥くときは、外側の筋っぽい部分をしっかり取り除くため、普段のお味噌汁よりも少し厚めに、外側のラインから3〜4mmほど思い切って厚く剥くのが美味しく仕上げるコツになります。
厚めに輪切りにした大根の角は、ぐるりと一周薄く削ぎ落とす「面取り」をしておきましょう。圧力鍋の内部では激しい対流が起こるため、角を残したままだとお隣の具材とぶつかり合って端からボロボロと崩れてしまい、せっかくの透き通った出汁を濁らせる原因になってしまいます。
さらに、大根の片面に深さの3分の1ほど十字の切り込み(隠し包丁)を入れておくと、短時間の加熱でも繊維の奥まで出汁がすっと染み渡ります。食卓に出すときは隠し包丁を入れた面を下にして盛り付けると、見た目も上品で料亭のような佇まいになりますよ。
牛すじのアク抜きと一口大の切り分け手順
牛すじは独特の旨味とプルプルしたコラーゲンが魅力ですが、そのまま煮込んでしまうと独特の臭みや余分な脂、濁りの原因となるアクがたくさん出てしまいます。まずはたっぷりの水と牛すじをお鍋に入れ、火にかけて沸騰させましょう。
グラグラと沸いて灰色の泡状のアクが浮き上がってきたら、火を止めてザルにあけ、流水で表面の汚れや脂のかたまりを優しく洗い流します。この最初の「茹でこぼし」を丁寧に行うだけで、仕上がりの雑味がすっきりと消えて出汁の澄んだ風味がぐっと際立ちます。
生の状態では硬くて刃が通りにくい牛すじも、一度茹でこぼして表面に熱を通せば包丁でスムーズに切れるようになります。煮込むと少し縮む性質を考慮して、食べやすい一口大よりも気持ち大きめにカットし、竹串にジグザグと刺して形を整えておくと、おでん鍋の中でも迷子にならず雰囲気も抜群です。
◆ワンポイントアドバイス
牛すじを串に刺すときは、赤身の多い部分とプルプルしたスジの部分を交互にバランスよく刺していくのがおすすめです。一口ごとに食感の変化が楽しめて、家族からも大好評の一品になりますよ。
圧力鍋でおでんを作る際の失敗を防ぐ注意点
短時間で美味しいお料理が作れる圧力鍋ですが、密閉して高い圧力をかける構造上、いくつかの注意点を守らないと仕上がりが台無しになったり思わぬトラブルにつながったりします。安全に美味しく作るためのルールをしっかり確認しておきましょう。
練り物を一緒に加圧してはいけない理由
おでんには欠かせない、さつま揚げ、ごぼう巻き、ちくわ、はんぺんなどの「練り物」。これらを大根や牛すじと一緒に圧力鍋に入れて高圧をかけてしまうのは、最もよくある失敗パターンのひとつです。
練り物に含まれる空気や水分が高熱と圧力によって急激に膨張し、フタを開けたときには巨大風船のように膨らみ、圧力が下がると同時に一気にしぼんでペラペラ・ボソボソのゴムのような食感になってしまいます。
さらに、練り物の旨味が出汁の中に過剰に抜け出してしまい、具材自体の味が抜けてしまうのも残念な点です。
特にちくわぶやはんぺんは膨張しやすく、鍋の中で破裂して出汁をドロドロに濁らせてしまう危険性もあります。練り物は「加圧調理が終わったあと、フタを開けてから加える」という鉄則をぜひ覚えておいてくださいね。
具材と煮汁の最大調理量を守る重要性
具材がたくさん入るおでんは、ついつい鍋いっぱいに材料を詰め込みたくなってしまうものですが、圧力鍋には絶対に超えてはならない「最大調理量」のラインが刻まれています。通常は鍋の深さの3分の2、豆類や泡立ちやすい食材を煮る場合は3分の1から2分の1までと厳格に決められています。
容量をオーバーして具材や煮汁を詰め込むと、沸騰したときに煮汁や食材の破片が蒸気ノズルに飛び散り、排気口を塞いでしまう恐れがあります。蒸気が適切に抜けなくなると異常な圧力がかかってしまい、非常に危険です。
家庭用として普段から扱いやすい軽量で安全機能が充実した使い勝手の良い圧力鍋を選んでおくと、毎日の調理でも規定量を把握しやすく、ストレスなく安全に使い続けられます。おでんを作るときは、欲張らずに鍋の内側の安全ラインを必ず守るように心がけてください。
注意したい安全ルール
最大調理量を超えて具材や煮汁を入れないでください。ノズルが詰まって蒸気が抜けなくなると、圧力鍋の故障や思わぬ事故の原因になります。必ず内側の規定ラインを守りましょう。
大根と牛すじを別々に加圧する下準備
おでんを極上の仕上がりに導く最大のテクニックは、具材ごとの特性に合わせた加圧時間の使い分けです。特に牛すじは柔らかくなるまでに少し長めの加圧が必要ですが、大根を同じ時間煮込むと柔らかくなりすぎて崩れてしまいます。
牛すじの下煮込みと加圧時間の目安
下茹でとアク抜きを済ませた牛すじは、まず単独で圧力鍋に入れて下煮込みを行います。串に刺した牛すじがしっかり浸かる程度の水(または薄めの出汁)と、臭み消しの長ネギの青い部分、薄切りにした生姜を一緒にお鍋に入れましょう。
フタをしっかり閉めて強火にかけ、圧力がかかったら弱火にして約15分加圧します。一般的な家庭用圧力鍋の場合、高圧タイプなら12〜15分、普通圧タイプなら18〜20分前後が、スジ肉が適度にとろけてゼラチン質がぷるんと柔らかくなる絶妙な目安です。
加圧が終わったら火を止め、ピンが完全に下がるまで自然放置して圧力を抜きます。フタを開けて竹串を刺してみて、抵抗なくスッと通れば下煮込みの完了です。
この段階で出汁に溶け出した余分な脂が気になる場合は、粗熱を取ったあとにスープの表面に固まった白い脂をスプーンですくい取ると、後味のキレが格段に良くなります。
大根を煮崩れさせない加圧の加減
牛すじの準備ができたら、次はおでんの主役である大根の番です。大根は繊維が柔らかくなりやすいため、牛すじのように長く加圧してしまうと箸で持ち上げられないほど崩れてしまいます。
大根の加圧時間は、圧力がかかってから「高圧で3〜5分」程度で十分です。普通圧の鍋でも6〜8分ほど加熱すれば、中心部までしっかりと透明感が通り、芯の硬さが完全に抜けた状態になります。
もし牛すじの下茹で汁を活用したい場合は、一度冷まして脂を取り除いた綺麗なスープに和風出汁を足し、大根を入れてサッと加圧する段取りがとてもスムーズです。火の通りやすさが異なる食材同士を無理に一緒にせず、それぞれの適正時間を守ることがプロ級の仕上がりを生む近道かなと思います。
基本の出汁の黄金比と調味料の合わせ方
おでんの味の決め手となるのは、具材の旨味を受け止めて包み込む上品な出汁です。濃すぎるお醤油味だと煮詰まったときに塩辛くなってしまうため、お出汁の風味を前面に出した黄金比をベースに仕立てていきましょう。
昆布と鰹節の上品な関西風出汁の配合
家庭で一番美味しく、具材の味を引き立ててくれるのが、昆布と鰹節を贅沢に使った合わせ出汁です。水1,000mlに対して、出汁昆布10g、かつお節20〜30g程度を使って丁寧に出汁を取ると、香りの立ち方がまるで違います。
調味料は、出汁1,000mlに対して以下の割合で合わせるのが黄金比の基本です。
| 材料 | 分量(出汁1,000mlあたり) | 役割とポイント |
|---|---|---|
| 薄口醤油 | 大さじ2〜3 | 出汁の淡い色合いを保ちながらキリッとした塩分を足す |
| みりん | 大さじ2 | まろやかな甘みと上品な照りを加える |
| 酒 | 大さじ2 | お肉や魚肉の臭みを和らげ味に奥行きを出す |
| 塩 | 小さじ1/2〜1弱 | 全体の輪郭をキュッと引き締める隠し味 |
濃口醤油を使ってしまうと全体が黒っぽくなり、煮詰まるうちに色も味も重たくなってしまいます。透き通った黄金色のスープを目指すなら、ぜひ薄口醤油を選んでみてくださいね。
市販の白だしやおでんの素を上手に使うコツ
忙しい平日や、出汁をイチから取る時間がないときは、市販の白だしやおでんの素を賢く頼るのも大賛成です。最近の市販品は鰹や昆布の旨味が凝縮されていて、手軽に味が決まる素晴らしい調味料ですからね。
ただし、市販のスープの素を使うときは、パッケージに記載されている規定の希釈倍率よりも「ほんの少しだけ薄め」に作っておくのが失敗しない秘訣です。
圧力鍋での調理後は煮汁を少し煮詰めたり、保温しながら味をしみこませたりするため、最初から規定通りの濃さにしておくと後から塩辛く感じてしまうことがあります。
味見をしたときに「ちょっと薄口で優しいかな?」と感じるくらいにしておくと、練り物から溢れ出る自然な塩気や旨味が溶け込んだときに、ちょうど完璧なバランスに着地しますよ。
出汁作りの豆知識
練り製品にはもともとしっかりとした塩分と旨味が練り込まれています。そのため、最初の出汁は塩分控えめに仕立てておくのが、最後まで飲み干せる美味しいおでんスープを作るポイントです。
具材を投入するタイミングと仕上げの手順
下準備が整ったら、いよいよ具材たちを合わせて本格的なおでんへと仕上げていくクライマックスの工程に入ります。ここでの順番の守り方が、美しさと美味しさを両立させる分水嶺になります。
加圧調理する具材と後入れする具材の分類
おでんに入れる具材は、性質に合わせて「加圧チーム」と「後入れチーム」の2つにきっちり分けて扱いましょう。すべてを一緒にせず、役割分担を意識することが大切です。
「加圧チーム」に入るのは、組織が硬くて熱が通りにくい大根、牛すじ、ゆで卵、こんにゃく、結び白滝などです。これらの具材は圧力鍋の中でじっくり高熱を受け止めることで、短時間で芯まで柔らかくなり、出汁の旨味をスポンジのように吸い込んでくれます。
一方の「後入れチーム」は、さつま揚げ、ごぼう巻き、ちくわ、がんもどき、厚揚げ、餅巾着、はんぺんなどです。油分を含む厚揚げやがんもどきは、加圧前に熱湯をサッとかけて「油抜き」をしておくと、油臭さが抜けて出汁の染み込みが格段にアップします。
フタを開けてからの弱火煮込みで味を含ませる
加圧チームの調理が終わり、圧力が完全に抜けてフタを開けたら、そこに油抜きをした練り物や厚揚げなどの「後入れチーム」を並べ入れていきます。ここからはもう圧力鍋のフタをロックする必要はありません。
普通のフタ(または落とし蓋)を軽めの状態でのせ、スープがグラグラ波打たない程度の「ごく弱火」でコトコトと15分から20分ほど静かに煮込みましょう。沸騰させすぎてしまうと、大根の角が欠けたり、出汁が白く濁ったりする原因になります。
はんぺんのように火が通りやすく崩れやすい食材は、火を止める直前の最後の2〜3分に鍋の片隅へ浮かべるだけで十分にふっくら温まります。この静かな弱火煮込みの間に、練り物から出た芳醇な旨味が出汁へ溶け出し、その出汁が大根や牛すじへと戻っていくという素晴らしい味の循環が生まれます。
◆ワンポイントアドバイス
煮込み中は決してお箸で具材を突っついたり、激しくかき混ぜたりしないでくださいね。柔らかくなった大根はとてもデリケートなので、お鍋を優しく揺する程度にとどめておくのが崩さないコツです。
短時間でも芯まで味を染み込ませるテクニック
「時間は短縮できたけれど、大根の真ん中までしっかり味が染みているか心配」という方にぜひ知ってほしいのが、煮込み料理における温度変化の科学です。加熱時間そのものよりも、温度の下げ方を工夫することで味の染み込み方は劇的に変わります。
温度が下がる時に味が染み込む仕組みの活用
煮物の味付けにおいて最も基本的かつ重要な原則は、「食材は加熱されて細胞が緩んだ状態から、冷めていく過程で最も味を吸収する」という性質です。お鍋が熱々の状態のときは食材から外へ水分や空気が出ていこうとしますが、温度が下がり始めると周囲の煮汁を細胞内へきゅっと引き込み始めます。
つまり、何時間もコンロでグラグラ火をかけ続けるよりも、「しっかり火を通したあとにゆっくり冷ます時間を作る」ほうが、圧倒的に効率よく芯まで味を行き渡らせることができるわけです。
夕食におでんを食べるなら、できればお昼過ぎや夕方の早い時間にサッと煮込み工程まで終わらせておき、火を止めてそのまま常温で30分から1時間ほど放置してみてください。食べる直前に温め直すだけで、まるで一晩寝かせたかのような深いコクと染み染みの味わいに出会えますよ。
急冷せずに自然減圧でじっくり蒸らす効果
圧力鍋の圧力を抜く方法には、蒸気弁を持ち上げて一気に蒸気を抜く強制減圧(急冷)と、火を止めてピンが自然に下がるのを待つ「自然減圧」があります。おでんを作るときは、迷わず自然減圧を選んでください。
急激に圧力を抜いてしまうと、鍋の中の液体が激しく沸騰して具材が暴れ回り、せっかく面取りした大根がボロボロに崩れてしまいます。それだけでなく、食材内部の水分が急激に蒸発してしまい、パサついた仕上がりになってしまうこともあります。
余熱を保ちながらゆっくりと圧力が下がっていく自然減圧の時間は、言わば「密閉された空間での極上スチーム保温」のような状態です。じわじわと温度と圧力が落ち着いていく間に、出汁の旨味が大根や牛すじの繊維の中へじんわりと浸透していきます。
味染みアップの黄金ルール
圧力鍋の火を止めたら絶対に急冷せず、ピンが下がるまで自然放置しましょう。さらにフタを開けて後入れ具材を煮込んだあと、一度粗熱が取れるまで冷ますことで、短時間でも驚くほど芯まで味が染み込みます。
圧力鍋おでんのおすすめレシピと具材の下ごしらえ一覧
ここまでのコツをぎゅっと詰め込んだ、我が家でも大人気の「圧力鍋おでん」の具体的なレシピ分量と、各具材の下準備を一覧にまとめました。4人分を想定した作りやすい分量になっています。
4人分の材料と調味料の配合比率
まずはメインとなる具材と調味料を揃えましょう。お好みに合わせて具材のバリエーションを広げるのもおでんの楽しいところです。
【主な具材(4人分)】
- 大根:1/2本〜2/3本(厚さ3cm程度の輪切り)
- 牛すじ肉:200g〜250g(下茹でして串打ちしたもの)
- ゆで卵:4個(固ゆでにして殻を剥く)
- 板こんにゃく:1枚(三角に切り格子状の隠し包丁を入れて下茹で)
- 結び白滝:4〜6個(熱湯でサッと下茹で)
- さつま揚げ・ごぼう巻き等の練り物:適量(熱湯をかけて油抜き)
- 厚揚げ・がんもどき:各2〜4個(熱湯をかけて油抜き)
- ちくわ:2本(斜め半分にカット)
- はんぺん:1枚(対角線に三角カット・最後の仕上げに投入)
【煮汁の配合】
- だし汁(鰹と昆布の合わせ出汁):1,200ml
- 薄口醤油:大さじ3
- みりん:大さじ2.5
- 酒:大さじ2.5
- 塩:小さじ1
失敗しないステップごとの調理手順
段取りをスムーズに進めるため、調理の手順を順番に追っていきましょう。キッチンでの動きをイメージしながら進めてみてくださいね。
まず下準備として、大根は厚めに皮を剥いて面取りをし、隠し包丁を入れておきます。牛すじはたっぷりの熱湯で3分ほど茹でこぼし、流水で洗ってから一口大に切り、竹串に刺しておきましょう。厚揚げや練り物はザルに並べ、熱湯を回しかけて油抜きを済ませておきます。
次に牛すじの下煮込みです。圧力鍋に牛すじと長ネギの青い部分、生姜スライス、かぶるくらいの水を入れてフタを閉め、高圧で15分加圧します。加圧後、ピンが下がるまで自然減圧し、牛すじを取り出しておきます(茹で汁は冷まして脂を除けばスープに使えます)。
続いて圧力鍋を軽く洗い、合わせ出汁1,200mlと調味料を注ぎ入れます。そこに大根、下煮込みした牛すじ、ゆで卵、こんにゃく、白滝をバランスよく配置してください。フタをしっかり閉めて強火にかけ、圧力がかかったら弱火にして「4分」加圧します。
火を止めたら再び自然減圧を待ち、ピンが完全に下がったらフタを開けます。この時点で大根は透き通るような美しい飴色に近づいているはずです。そこに油抜きしておいた練り物、ちくわ、厚揚げを静かに隙間へ滑り込ませましょう。
鍋を弱火にかけ、グラグラ沸騰させないように気をつけながら、落とし蓋をして15〜20分ほど優しく煮込みます。最後に火を止める2分前にはんぺんをのせ、ふっくら温まったら火を止めます。時間があれば、ここで一度フタをして30分ほど休ませてあげると、感動するほど味が染み渡りますよ。
| 具材名 | 必須の下ごしらえ | 投入のタイミング |
|---|---|---|
| 牛すじ | 下茹で・水洗い・串打ち後に圧力鍋で15分下煮込み | 本調理の最初(加圧チーム) |
| 大根 | 厚めの皮むき・面取り・隠し包丁 | 本調理の最初(加圧チーム・4分加圧) |
| こんにゃく・卵 | こんにゃくはアク抜き・卵は固ゆで | 本調理の最初(加圧チーム) |
| 練り物・厚揚げ | 熱湯を回しかけてしっかり油抜き | 加圧後フタを開けてから(弱火で15分煮込み) |
| はんぺん | 食べやすい大きさにカット | 火を止める直前2〜3分 |
圧力鍋で作ったおでんの保存方法と翌日の楽しみ方
たくさん作って余ったおでんは、翌日になるとさらに味が馴染んで格別の美味しさになります。ただし、水分が多く栄養満点のおでんは雑菌も繁殖しやすいため、衛生的な保存のコツをしっかり押さえておきましょう。
常温放置を避けて清潔に粗熱を取る方法
特に冬場にやってしまいがちなのが、「寒い部屋だから大丈夫だろう」と大きな鍋のままコンロの上に一晩中常温で放置してしまうことです。実は煮込み料理で繁殖しやすい「ウェルシュ菌」などは、40℃〜50℃前後のぬるい温度帯を好んで急速に増殖してしまいます。
おでんが余ったら、できるだけ早く粗熱を取ることが大切です。鍋底を氷水や冷水に当てて一気に温度を下げてから、清潔な密閉保存容器に移し替えて冷蔵庫に入れましょう。このとき、崩れやすいはんぺんや柔らかくなった大根を傷つけないよう、大きめのスプーンやお玉で優しくすくって移すのがコツです。
冷蔵保存する場合でも、2〜3日以内を目安に食べ切るようにしてくださいね。また、翌日に食べる際は必ず全体がしっかり沸騰するまで加熱してから器に盛るようにしましょう。
残った出汁を再利用する簡単アレンジレシピ
おでんの具材を食べ終わったあとに残るスープには、昆布や鰹節の出汁だけでなく、大根の甘み、牛すじのゼラチン質、練り物から溶け出した魚肉のコクがぎゅぎゅっと濃縮されています。この黄金のスープを捨ててしまうのは本当にもったいないです。
一番手軽で美味しいアレンジは「おでん出汁の極上うどん」です。残ったスープを温め、冷凍うどんをそのまま放り込んでひと煮立ちさせ、刻みネギとお好みで七味唐辛子を振るだけで、出汁の効いた専門店顔負けの一杯があっという間に完成します。
さらに、研いだお米におでんの残り出汁を規定量まで注ぎ、細かく刻んだ油揚げや人参、キノコを加えて炊飯器で炊き上げる「おでん出汁の炊き込みご飯」も絶品です。具材の旨味がご飯粒の一粒一粒に染み渡り、おかわりが止まらなくなる美味しさですよ。
出汁の冷凍保存テクニック
残った出汁をすぐ使わないときは、ザルにキッチンペーパーを敷いて一度きれいに濾し、冷凍用保存袋や保存容器に入れて冷凍庫へ。約2〜3週間保存でき、茶碗蒸しやだし巻き卵のだし汁として大活躍してくれます。
おでん調理におすすめの圧力鍋の選び方
これからおでんや煮込み料理のために圧力鍋を用意したい、あるいは買い替えを検討しているという方に向けて、おでん作りに適した圧力鍋の選び方のポイントを整理しておきます。
家族の人数に合わせた容量選び
圧力鍋選びで最も失敗しやすいのが「サイズ選び」です。おでんは大根や練り物、こんにゃくなど一つひとつの具材が大きくかさばるため、一般的なカレーやシチューを作るときよりもひと回り大きめのサイズを意識するのが快適に使うコツになります。
大人2〜3人のご家庭であれば「4.0L〜4.5L前後」、食べ盛りのお子さんがいる4人以上のご家庭なら「5.0L〜6.0L前後」のたっぷりした深さのある容量が適しています。容量に余裕があると、規定の安全調理ラインを気にしすぎることなく、たくさんの具材をゆったりと並べることができますよ。
逆に一人暮らしや少人数だからと2.5L前後の小さすぎるサイズを選んでしまうと、大根数切れと牛すじを入れただけで満杯になってしまい、おでんの醍醐味である具だくさん感を楽しむのが難しくなってしまうので注意してくださいね。
高圧と低圧の切り替え機能や安全性のチェック
圧力鍋には、圧力を一定に保つシンプルなタイプと、食材に合わせて「高圧」と「低圧」をダイヤルなどで切り替えられるタイプがあります。おでんを頻繁に美味しく作りたいなら、間違いなく圧力切り替え機能付きのモデルが便利です。
繊維の硬い牛すじを短時間でトロトロに煮崩したいときは「高圧」、繊細で柔らかくなりやすい大根や野菜を煮崩れさせずにじっくり煮たいときは「低圧」といったように、使い分けができると仕上がりの美しさが一段とレベルアップします。
また、お手入れのしやすさも長く愛用するための大事な基準です。フタのパッキンが簡単に取り外して洗えるか、蒸気口のお掃除がシンプルにできるかなど、日常のメンテナンス性にも目を向けて扱いやすさと耐久性に優れた信頼できるメーカーの圧力鍋をじっくり選んでみてくださいね。
圧力鍋のおでん調理に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 圧力鍋でおでんを作ると大根が柔らかくなりすぎて崩れてしまいます。どうすればいいですか?
A. 大根の加圧時間が長すぎるか、急激に蒸気を抜いて圧力を下げてしまったことが主な原因かなと思います。大根の加圧時間は高圧で3〜4分程度で十分火が通ります。また、皮を3〜4mmと厚めに剥いて丁寧に面取りを行い、火を止めたあとはピンが自然に下がるまで触らずに置くことで、角が立った美しい状態をキープできますよ。
Q2. 電気圧力鍋でも普通の圧力鍋と同じレシピで作れますか?
A. はい、基本の考え方や具材を分ける手順はまったく同じで大丈夫です。ただし、電気圧力鍋は火にかけるガス用圧力鍋に比べて圧力がやや穏やかな設計になっている製品が多いため、牛すじの加圧時間を5分ほど長めに設定するか、機器に搭載されている「牛すじ煮込みモード」などを活用すると上手に仕上がります。練り物を後入れしてフタを開けて煮込む手順も同様に行ってくださいね。
Q3. 牛すじの下茹で汁はおでんのスープとして使っても大丈夫ですか?
A. 一度沸騰させてアクを洗い流したあとの「2回目の下煮込みの煮汁」であれば、牛すじの旨味が溶け込んでいるため美味しいスープベースとして活用できます。ただし、そのまま使うと脂分が多くてスープが重たくなってしまうので、煮汁を一度ボウルに移して冷蔵庫などでしっかり冷やし、表面に白く固まったラードをスプーンで丁寧に取り除いてから和風出汁と合わせて使うのが美味しく仕上げるコツです。
Q4. ゆで卵やこんにゃくは加圧するとゴムのように硬くなりませんか?
A. 大根と同じ3〜4分程度の短い加圧時間であれば、卵の白身が極端に硬くなったり、こんにゃくの食感が損なわれたりする心配はほとんどありません。むしろ表面の気孔から短時間で出汁がグッと浸透して美味しく仕上がります。ただし、牛すじのように15分以上長く加圧するお鍋に一緒に入れてしまうとゴムのような食感になってしまうので、必ず大根と一緒に短い時間で加圧するようにしてくださいね。
まとめ
何時間もコトコト煮込まないと味が染みないと思われがちなおでんですが、圧力鍋の特性を上手に味方につければ、驚くほどの短時間でお店レベルの深い味わいを再現することができます。
大成功への一番の近道は、決してすべての具材を一度に煮込もうとせず、硬い大根や牛すじの下処理・加圧と、デリケートな練り物の後入れ煮込みをしっかり切り分けることです。
急激な減圧を避け、温度が下がるタイミングを利用してじっくり味を含ませてあげるだけで、大根は角がピンと立ったまま中まで透き通り、牛すじはお口の中でとろける最高のご馳走に仕上がります。
今夜はぜひ、湯気立ちのぼる熱々の圧力鍋おでんを囲んで、家族みんなで温まる幸せな晩ごはんの時間を過ごしてみてくださいね。

