杉のまな板は一生もの!特徴から選び方、手入れまで徹底紹介

まな板 滑る まな板について考える

「杉のまな板に興味があるけれど、実際のところどうなんだろう?」そんな疑問をお持ちではありませんか。

木製のまな板は、なぜ「まな板は木がいい」と言われるのか、その理由から、一枚板や合板といった木製まな板の種類、そしてまな板に最適な木材まで、知っておくべきことはたくさんあります。

特に杉のまな板は、その特徴だけでなくデメリットも理解した上で選びたいものです。

この記事では、木製まな板を選ぶポイントから、適切なサイズ、初めて使うときの下準備、日々の手入れ、さらにはDIYでの作り方まで、杉のまな板に関するあらゆる情報を網羅的に紹介します。

  • 杉のまな板が持つメリットとデメリットを理解できる
  • 購入後すぐに実践できる正しい手入れ方法が身につく
  • なぜ木製まな板がプロに選ばれるのかがわかる
  • 自分に合ったまな板を選ぶための具体的な基準がわかる

杉のまな板を一生ものにするお手入れ方法

杉 まな板
  • プロも愛用する杉のまな板の特徴
  • 購入前に知るべき杉のまな板のデメリット
  • 杉のまな板を初めて使うときの大事なこと
  • 日々実践したい杉のまな板の手入れ
  • 挑戦してみる?杉のまな板の作り方

プロも愛用する杉のまな板の特徴

数ある木材の中でも、杉のまな板はプロの料理人からも選ばれるなど、多くの魅力を持っています。

ここでは、杉のまな板が持つ優れた特徴について詳しく見ていきましょう。

杉のまな板が持つ主な特徴

  1. 包丁に優しい刃当たり:杉材は比較的柔らかく、弾力性に富んでいます。

    そのため、包丁の刃を優しく受け止め、刃先を傷つけにくいのが最大の特徴です。

    大切な包丁の切れ味を長く保つことができます。
  2. 高級感のある美しい木目:まっすぐに通った木目が美しく、キッチンに立つ時間を豊かにしてくれます。

    特に奈良県の吉野杉などは、その緻密で美しい木目から高級材として知られています。
  3. 優れた耐久性:法隆寺の宮大工が「杉の赤身は100年以上もつ」と語ったという逸話があるほど、特に心材(赤身)部分は水に強く、耐久性に優れています。
  4. 軽くて扱いやすい:木材の中では軽量な部類に入るため、シンクで洗ったり持ち運んだりする際の負担が少ないのも嬉しいポイントです。
  5. 高い安全性:天然木の一枚板から作られ、防腐剤などを使用していない製品であれば、赤ちゃんの離乳食作りなどにも安心して使用できます。

購入前に知るべき杉のまな板のデメリット

杉 まな板

多くのメリットがある杉のまな板ですが、購入前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。
これらを理解しておくことで、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。

杉のまな板の注意点

  • 傷がつきやすい:優しい刃当たりは、裏を返せば材質が柔らかいということです。

    そのため、ヒノキなどの硬い木材に比べると、包丁による切り傷がつきやすく、目立ちやすい傾向があります。
  • 急激な乾燥はNG:食器洗い乾燥機や直射日光による急激な乾燥は、木の水分バランスを崩し、割れや反りの大きな原因となります。

    絶対に使用しないでください。
  • 黒ずみやカビのリスク:これは木製まな板全般に言えることですが、洗浄後に濡れたまま放置すると、黒ずみやカビが発生しやすくなります。

    適切な洗浄と乾燥が不可欠です。
  • 特有の香り:杉には特有の香りがあります。ヒノキほど強い香りではありませんが、匂いに敏感な方は、購入前に一度香りを確認してみることをおすすめします。

これらのデメリットは、正しいお手入れをすることで十分にカバーできるものがほとんどです。杉のまな板は、少し手間をかけてあげることで、長く快適に使える道具なのです。

杉のまな板を初めて使うときの大事なこと

新品の杉のまな板を長持ちさせるためには、使い始める前の「一手間」が非常に重要になります。

この一手間をかけるかどうかで、まな板の寿命や汚れのつきにくさが大きく変わってきます。

その一手間とは、「使用前にまな板全体を水でしっかり濡らす」ことです。

なぜなら、乾いた状態の木はスポンジのように水分や油分を吸収しやすいため、そのまま食材を切ると、肉汁や魚のドリップ、野菜の色素などが木の中に染み込んでしまい、シミや匂いの原因となってしまうからです。

使用前に全体を水で濡らすことで、木の表面に水の膜が張られます。

この水の膜がバリアとなり、食材の汚れや匂いが内部に侵入するのを防いでくれるのです。

お寿司屋さんの板前さんが、調理中に何度もまな板を濡れ布巾で拭いているのはこのためです。

【上級者向け】プレメンテナンスでさらに長持ち

より本格的なお手入れとして、使い始める前にオイルや蜜蝋でコーティングする方法もあります。

木口(木の断面が見える側面)に蜜蝋を塗り込むと水の侵入を効果的に防げます。

また、表面に亜麻仁油やクルミ油といった食用の乾性油を薄く塗っておくと、撥水性が高まり、汚れがつきにくくなります。

日々実践したい杉のまな板の手入れ

まな板 滑る

杉のまな板を衛生的に、そして美しく保つための日々の手入れは、決して難しいものではありません。

ポイントは「使ったらすぐに洗い、しっかり乾かす」という2点に尽きます。

洗浄のポイント

使用後は、時間を置かずに洗浄するのが基本です。

汚れが乾いてしまうと、落ちにくくなります。

  • 洗う道具:スポンジの柔らかい面ではなく、亀の子タワシやシュロたわしを使い、木目に沿ってゴシゴシと洗いましょう。

    タワシの硬い繊維が、包丁傷の隙間に入り込んだ汚れをしっかりとかき出してくれます。
  • 洗剤:普段の野菜や果物を切った後であれば、水洗いだけで十分です。

    肉や魚を切った後など、油汚れが気になる場合は中性洗剤を使いますが、洗剤が残らないよう、すすぎは念入りに行ってください。

    洗剤のすすぎ残しは雑菌繁殖の原因になります。
  • お湯の使用:熱湯消毒は効果的ですが、タイミングに注意が必要です。

    必ず洗剤などで汚れを落とした後に行ってください。

    汚れが残った状態で熱湯をかけると、肉や魚のタンパク質が固まってしまい、かえって汚れが取れにくくなります。

乾燥と保管のポイント

洗浄以上に重要なのが、乾燥と保管です。

黒ずみやカビの最大の原因は、まな板が生乾きの状態が続くことにあります。

洗浄後は、すぐに乾いた清潔な布巾で、表面・裏面・側面の全てを丁寧に拭き上げてください。

その後、風通しの良い場所で保管します。

その際、まな板スタンドなどを使って、木目が縦になるように立てておくと、効率よく乾燥させることができます。

直射日光は反りの原因になるため、必ず日陰で乾かしましょう。

挑戦してみる?杉のまな板の作り方

DIYに興味がある方なら、自分だけのオリジナルまな板作りに挑戦してみるのも一興です。

自分の手で作り上げた道具は愛着もひとしおで、日々の料理がさらに楽しくなるはずです。

本格的なカンナがけには技術が必要ですが、ここでは初心者でも挑戦しやすい、サンドペーパーを使った簡単な作り方をご紹介します。

DIYまな板の簡単ステップ

  1. 材料を準備する:ホームセンターなどで、好みのサイズの杉板を購入します。

    厚みがあり、なるべく節が少なく木目がまっすぐな「柾目」の板を選ぶのがポイントです。
  2. 形を整える:購入した板の角が鋭い場合は、サンドペーパーで丸みを持たせるように削ります。

    この一手間で、ぐっと使いやすく、見た目も良くなります。
  3. 表面を磨く:まな板の表面全体をサンドペーパーで磨き、滑らかにします。

    最初は少し粗めの紙やすり(#180~#240程度)で磨き、次に細かい紙やすり(#320~#400程度)で仕上げると、ツルツルとした手触りになります。
  4. オイルで仕上げる:磨き終わったら、木の粉をきれいに拭き取り、亜麻仁油やクルミ油などの食用の乾性油を布に染み込ませ、薄く塗り込みます。

    油を塗って一晩乾燥させれば、自分だけのオリジナルまな板の完成です。

表面に傷や黒ずみが目立ってきたら、同じようにサンドペーパーで削り直すことで、また新しい表面に戻すことができます。

これも木製まな板ならではの魅力ですね。

杉のまな板だけじゃない木製まな板の選び方

杉 まな板
  • なぜまな板は木がいいのか
  • 木製まな板の種類と一枚板・合板の違い
  • まな板に最適な木材と選ぶポイント
  • 後悔しない木製まな板のサイズ選び
  • まとめ:毎日使いたい杉のまな板

なぜまな板は木がいいのか

プラスチックやゴムなど、まな板には様々な素材がありますが、プロの料理人が木製のまな板を愛用するのには明確な理由があります。

最大の理由は、包丁への優しさです。

木材には適度な弾力性があるため、包丁の刃を優しく受け止め、刃こぼれを防ぎます。

結果として、包丁の鋭い切れ味が長持ちするのです。

ガラスや大理石のような硬い素材の上で包丁を使うと、刃先はすぐに劣化してしまいます。

また、調理のしやすさも大きなメリットです。

木が食材の余分な水分を吸収してくれるため、食材が滑りにくく、安全に作業を進めることができます。

さらに、「トントン」という心地よい音は、単なる作業音ではなく、料理を楽しくする要素の一つと言えるでしょう。

木製まな板が選ばれる理由

  • 刃当たりが柔らかい:包丁の切れ味を長持ちさせる
  • 弾力性がある:長時間の調理でも腕が疲れにくい
  • 食材が滑りにくい:安全かつリズミカルに調理できる

木製まな板の種類と一枚板・合板の違い

杉 まな板

木製まな板と一言で言っても、使われる木の種類や加工方法によって特徴は大きく異なります。自分に合った一枚を見つけるために、基本的な知識を整理しておきましょう。

代表的な木材(樹種)とその特徴

まな板によく使われる代表的な木材には、以下のようなものがあります。

それぞれに個性があるため、何を重視するかで選び方が変わってきます。

木材の種類特徴メリットデメリット
ヒノキ (檜)抗菌作用が高く、特有の良い香りがする。耐久性・耐水性にも優れる。衛生的で水切れが良い。香りが食材に移ることがある。
イチョウ (銀杏)油分を適度に含み、水はけが良い。復元力が高く、刃当たりが最も優しいとされる。包丁を傷めず、傷もつきにくい。抗菌性はヒノキに劣る。材によっては特有の匂いがある。
スギ (杉)軽量で刃当たりが柔らかい。直線的で美しい木目が特徴。扱いやすく、包丁を傷めにくい。柔らかいため傷がつきやすい。
キリ (桐)国産材で最も軽量。乾きが早く、復元力もある。軽くて扱いやすい。柔らかすぎて傷が目立ちやすい。軽すぎて安定性に欠ける場合がある。
ヒバ (檜葉)ヒノキチオールを多く含み、非常に高い抗菌性を持つ。水にも強い。極めて衛生的で耐久性が高い。希少で高価。香りが強い。

加工方法による違い:一枚板と合板

木材の加工方法には、主に「一枚板」と「接ぎ板(合板・集成材)」の2種類があります。

一枚板(無垢材)は、その名の通り一本の木から切り出した、つなぎ目のない板です。

木が持つ本来の調湿機能が活かされ、耐久性に優れています。

しかし、木の特性がそのまま現れるため反りやすく、希少で高価になる傾向があります。

一方、接ぎ板(合板)は、複数の角材を特殊な接着剤で貼り合わせて作られたものです。

一枚板に比べて反りにくく、価格も手頃なため家庭用として広く普及しています。

ただし、接着部分から割れや歪みが生じる可能性は否定できません。

まな板に最適な木材と選ぶポイント

杉 まな板

では、数ある選択肢の中から、何を基準にまな板を選べばよいのでしょうか。

ここでは、より専門的な視点から、まな板に最適な木材の条件と選ぶ際のポイントを解説します。

木取りの違い:柾目(まさめ)と板目(いため)

丸太から板を切り出す方法によって、木目の現れ方が変わります。これには大きく分けて「柾目」と「板目」があります。

  • 柾目:丸太の中心に向かって直角に切り出したもので、木目が平行な直線状になります。伸縮が少なく反りや狂いが起きにくいため、水切れも良く、まな板には最適な木取りとされています。
  • 板目:丸太の中心からずらして切り出したもので、木目が山形や筍のような模様になります。木材らしい表情が楽しめますが、柾目に比べて反りやすい性質があります。

部位の違い:心材(赤身)と辺材(白太)

木の断面を見ると、中心部の色が濃い部分と、外側の色が薄い部分があります。

  • 心材(赤身):木の中心部分で、樹脂成分が豊富に含まれています。

    これにより、天然の防腐・防虫効果があり、耐久性が高く腐りにくいという特徴があります。
  • 辺材(白太):木の周辺部分で、比較的新しい細胞からなります。

    水分を多く含み、心材に比べると耐久性は劣ります。

理想を言えば、「柾目」で切り出された「心材(赤身)」だけを使った一枚板のまな板が最高級品とされています。

水に強く、反りにくく、衛生的で、包丁にも優しいという、まな板に求められる要素をすべて満たしているからです。

ただ、非常に貴重で高価なため、なかなか手が出しにくいのも事実ですね。

後悔しない木製まな板のサイズ選び

杉 まな板

デザインや材質と同じくらい重要なのが、まな板のサイズです。

キッチンの作業スペースやシンクの大きさ、そして普段作る料理の量を考慮して選びましょう。

小さすぎると切った食材がこぼれ落ちてストレスになりますし、大きすぎると作業スペースを圧迫し、洗ったり収納したりするのが億劫になってしまいます。

一般的なサイズの目安は以下の通りです。

暮らしに合わせたサイズの目安

  • 一人暮らし:幅30cm × 奥行き15~20cm程度
  • 二人暮らし:幅40cm × 奥行き20cm程度
  • 3~4人家族:幅45cm × 奥行き25cm程度

また、厚さは3cm以上のものを選ぶのがおすすめです。

十分な厚みがあれば、安定感が増して調理しやすくなるだけでなく、将来的に表面を削り直して(リペアして)長く使い続けることも可能になります。

毎日使いたい杉のまな板を総括

この記事では、杉のまな板を中心に、木製まな板の選び方から特徴、正しい手入れ方法までを詳しく紹介してきました。最後に、記事のポイントをまとめます。

  • 木製まな板は包丁に優しく食材が滑りにくい
  • 代表的な木材にはヒノキやイチョウ、杉などがある
  • 加工方法には一枚板と接ぎ板(合板)がある
  • まな板には反りにくい柾目の心材が最適
  • サイズはキッチンスペースと用途に合わせて選ぶ
  • 杉のまな板は刃当たりが優しく耐久性が高いのが特徴
  • 美しい木目と軽さも杉のまな板の魅力
  • 一方で傷がつきやすく適切な手入れが必要というデメリットも
  • 食洗機や乾燥機の使用は割れや反りの原因になるため厳禁
  • 初めて使う前には必ず全体を水で濡らす
  • この一手間で食材の匂いや色移りを防げる
  • 使用後はタワシで洗いすぐに水分を拭き取ることが大切
  • 保管は風通しの良い場所で立てて乾燥させる
  • 黒ずみや傷が気になったら紙やすりで削り直せる
  • 正しい知識で手入れをすれば杉のまな板は長く愛用できる
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