プロの料理人にも愛用者が多いことで知られる銀杏(イチョウ)のまな板。
しかし、せっかく購入したのに、その独特の臭いに戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
銀杏のまな板が臭いと感じるのには、実はちゃんとした理由があります。
特に、新品なのに臭うのはなぜだろうと疑問に思いますよね。
この臭いの正体は、イチョウ材特有の臭い成分によるものです。
この記事では、銀杏のまな板が臭い理由から、ご家庭で簡単にできる臭いを取る方法まで、詳しく解説します。
重曹を使った臭い取りや手軽な酢水スプレーの活用法、長く愛用するためのお手入れのコツはもちろん、気になるカビ対策や漂白の注意点にも触れていきます。
さらに、銀杏のまな板が持つメリットやデメリット、他の材質との比較を通じて、その魅力を深く掘り下げていきます。
- 銀杏のまな板が持つ特有の臭いの原因
- 家庭で簡単にできる効果的な臭い取りの方法
- カビを防ぎ、まな板を長く清潔に保つためのお手入れ術
- 他の材質との比較からわかる銀杏のまな板の本当の魅力
銀杏のまな板が臭いのはなぜ?その理由を解説

- 銀杏のまな板が臭い理由とは?
- イチョウ材特有の臭いの正体
- 新品なのに臭うのはどうして?
- 銀杏まな板のメリットとデメリット
- 他の木材との材質比較
銀杏のまな板が臭い理由とは?
銀杏のまな板から放たれる独特の臭いは、木材自体が持つ天然の成分に由来します。
これは、まな板が腐敗していたり、品質が悪かったりするわけではありませんので、まずはご安心ください。
秋になると街路樹の銀杏から漂う、あの特有の香りを思い浮かべる方もいるかもしれません。
まな板の臭いも、基本的には同じ系統の成分が原因です。
この臭いは、イチョウの木が昆虫や動物から身を守るための自己防衛機能の一部であり、いわば天然の抗菌成分とも言えるものです。
特に、水分を含むことで成分が揮発しやすくなり、臭いを強く感じることがあります。
豆知識:臭いは天然素材の証 
銀杏のまな板の臭いは、化学的な加工が施されていない、自然の木材そのものである証拠でもあります。
使い続けていくうちに、この臭いは徐々に薄れていきますので、過度に心配する必要はありません。
イチョウ材特有の臭いの正体

銀杏のまな板が放つ特有の臭いの主な原因物質は、「酪酸(らくさん)」と「エナント酸」という2つの成分であると言われています。
これらの名前を聞いてもピンとこないかもしれませんが、私たちの身近なところにも存在する物質です。
「酪酸」は人の足の汗やバターが腐敗したときの臭いの成分としても知られており、「エナント酸」は油が腐敗したような臭いと表現されることがあります。
これらの成分が混ざり合うことで、あの何とも言えない独特の臭いが発生するのです。
少し不快に感じるかもしれませんが、これらの成分はイチョウの木が持つ天然のものです。
木が自分自身を守るために作り出した成分が、まな板になった後も残っていると考えると、少し見方が変わるかもしれませんね。
この臭いは決して有害なものではなく、食材に臭いが移ることもほとんどないとされています。
むしろ、この成分が抗菌作用の一端を担っているという側面もあります。
新品なのに臭うのはどうして?
「購入したばかりの新品のまな板なのに、なぜこんなに臭うの?」と驚かれる方は少なくありません。
実は、新品のまな板ほど臭いを強く感じる傾向があるのです。
その理由は、木材が加工されてから時間が経っておらず、臭いの原因となる天然成分がまだ豊富に残っているためです。
特に、銀杏のまな板は乾燥した状態ではあまり臭いませんが、使い始めに水で濡らすことで、内部に留まっていた成分が一気に揮発し、臭いが立ち上ってくるのです。
これは、いわば「木の呼吸」のようなもの。
水分を得て、木が本来持っている香りを放散している状態と言えます。
したがって、新品の時に臭いがするのはごく自然な現象であり、むしろ新鮮な木材である証と捉えることができます。
使用を重ね、洗浄と乾燥を繰り返すうちに、臭いは必ず落ち着いていきます。
銀杏まな板のメリットとデメリット

銀杏のまな板は、その独特の臭いという特徴がありますが、それを補って余りある多くのメリットを持つことから、プロの料理人にも選ばれています。
一方で、デメリットも理解した上で選ぶことが大切です。
銀杏のまな板のメリット
- 刃当たりが非常に柔らかい:包丁の刃を傷めにくく、切れ味が長持ちします。
 トントンという心地よい切断音も魅力です。
- 復元性が高い:弾力性があるため、包丁でついた傷が自然に復元しやすく、傷が深くなりにくいです。
- 水はけが良く乾きが早い:適度な油分を含んでいるため水を弾きやすく、雑菌やカビの繁殖を抑える助けになります。
- 抗菌作用がある:前述の通り、木自体が持つ成分に抗菌効果が期待できます。
- 軽量で扱いやすい:他の木製まな板と比較して軽いものが多く、毎日の調理での取り回しが楽です。
銀杏のまな板のデメリット
- 特有の臭いがある:本記事で解説している通り、使い始めに独特の臭いがあります。
- 材質が柔らかく傷がつきやすい:刃当たりが良い反面、深い傷がつくこともあります。
- お手入れが必要:カビを防ぐために、使用後はしっかり乾燥させる必要があります。
- 価格が比較的高価:他の材質のまな板に比べて、高価な傾向があります。
これらのメリットとデメリットを総合的に判断し、ご自身の調理スタイルに合っているかを検討することが、満足のいくまな板選びの鍵となります。
他の木材との材質比較

まな板に使われる木材には、銀杏の他にも様々な種類があります。
ここでは、代表的な材質である「檜(ひのき)」や「朴(ほお)」、そして広く普及している「プラスチック」と銀杏を比較してみましょう。
| 材質 | 刃当たり | 抗菌性 | 香り | 水はけ | お手入れ | 
|---|---|---|---|---|---|
| 銀杏(イチョウ) | 非常に良い | 高い | 特有の香りあり | 良い | 乾燥が必要 | 
| 檜(ひのき) | 良い | 非常に高い | 強い芳香あり | 良い | ヤニが出ることあり | 
| 朴(ほお) | 良い | 中程度 | ほとんどない | 良い | 乾燥が必要 | 
| プラスチック | 硬め(刃が傷みやすい) | 低い(漂白剤は使用可) | なし | 非常に良い | 傷に雑菌が繁殖しやすい | 
上の表からわかるように、銀杏のまな板は特に「刃当たりの良さ」と「水はけ」のバランスに優れています。
檜は抗菌性の高さと香りが魅力ですが、その香りが食材に移ることを気にする方もいます。
朴は香りがなく扱いやすいですが、銀杏ほどの復元性はありません。
プラスチックは手軽ですが、包丁を傷めやすく、傷に入り込んだ雑菌の衛生管理が課題となります。
それぞれの材質に一長一短がある中で、銀杏は調理のしやすさと衛生面を両立させたい方に適した、非常にバランスの取れた材質であると言えるでしょう。
銀杏のまな板が臭い時の対処法とお手入れ

- 基本的な臭いを取る方法
- 重曹を使った臭い取りのコツ
- 手軽に試せる酢水スプレー
- カビ対策と漂白剤の使用法
- 長持ちさせるためのお手入れ
基本的な臭いを取る方法
銀杏のまな板の臭いは、使い続けることで自然と薄れていくのが基本ですが、少しでも早く和らげたい場合、まず試していただきたいのが「洗浄と乾燥の徹底」です。
臭いは水分によって引き立てられるため、使用後は速やかに洗浄し、とにかくしっかりと乾燥させることが最も重要で効果的な対策となります。
具体的な手順は以下の通りです。
- 使用後はすぐに、タワシなどを使って木目に沿って水洗いします。
- 洗い終わったら、清潔な乾いた布で全体の水分を丁寧に拭き取ります。
- 風通しの良い場所に立てかけて、完全に乾燥させます。
注意点:直射日光と熱湯は避ける 
早く乾かしたいからといって、直射日光に当てたり、ドライヤーの温風を当てたりするのは厳禁です。
急激な温度変化は、木の反りやひび割れの原因となります。
また、熱湯をかけると臭いの原因であるタンパク質が固まってしまう可能性があるため、洗浄は水かぬるま湯で行いましょう。
この「洗う→拭く→立てて乾かす」というサイクルを数日から1週間ほど繰り返すだけで、多くの場合、気になる臭いはかなり軽減されます。
重曹を使った臭い取りのコツ

基本的なお手入れでも臭いが気になる場合に試したいのが、重曹の活用です。
重曹は、その弱アルカリ性の性質で酸性の臭いを中和する効果があり、安全な消臭剤としてキッチンで大活躍します。
方法は非常に簡単です。
- まな板を軽く濡らした後、表面全体に重曹をたっぷりと振りかけます。
- 少量の水を加え、指やスポンジでペースト状にしながら、まな板全体に優しくこすり広げます。
- そのまま数分間放置した後、水で重曹をきれいに洗い流します。
- 最後に、清潔な布で水気を拭き取り、風通しの良い場所でしっかり乾燥させます。
この方法は、銀杏特有の臭いだけでなく、魚やニンニクなどの調理後のしつこい臭いを取り除くのにも効果的です。
週に1回程度取り入れると良いでしょう。
手軽に試せる酢水スプレー
重曹と並んで、家庭で手軽にできる臭い対策としておすすめなのが「酢水スプレー」です。
お酢に含まれる酢酸には、殺菌効果や臭いを中和する作用が期待できます。
酢水スプレーの作り方と使い方
- 清潔なスプレーボトルに、水と酢を3:1程度の割合で入れ、よく振り混ぜます。
- 通常通り洗浄し、水気を拭き取ったまな板の表面全体に、酢水スプレーをまんべんなく吹きかけます。
- そのまま10分ほど放置します。
- 時間が経ったら、水でさっと洗い流し、改めて水気を拭き取ってから乾燥させます。
お酢のツンとした香りが気になるかもしれませんが、乾燥すれば香りは飛んでしまいます。
穀物酢や米酢など、ご家庭にある一般的なお酢で問題ありません。
レモン汁にも同様の効果があるため、スライスしたレモンでまな板をこするのも良い方法です。
この方法は、日々の簡単な除菌ケアとしても役立ちます。
カビ対策と漂白剤の使用法

木製のまな板で最も気をつけたいのがカビの発生です。
カビを防ぐ基本は、これまで述べてきた通り「使用後の洗浄」と「徹底した乾燥」に尽きます。
もし、黒ずみやカビが発生してしまった場合の対処法として漂白剤が思い浮かびますが、木製のまな板への使用には注意が必要です。
塩素系漂白剤の使用について
プラスチック製まな板には有効な塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)ですが、木製のまな板には基本的に推奨されません。
その理由は以下の通りです。
- 木材が漂白剤を吸い込んでしまい、内部に成分が残留する可能性がある。
- 木の色が抜けたり、変色したりする原因になる。
- 木の繊維を傷め、まな板の寿命を縮める可能性がある。
どうしても使用したい場合は、必ず規定の濃度に薄め、目立たない場所で試してから、短時間で処理し、流水で十分にすすぐことが絶対条件です。
しかし、リスクを伴うことを理解しておく必要があります。
酸素系漂白剤という選択肢
比較的、木材へのダメージが少ないとされるのが酸素系漂白剤です。
ペースト状にして黒ずみが気になる部分に塗り、しばらく置いてから洗い流す方法がありますが、こちらも完全に黒ずみが消えるとは限りません。
黒ずみがひどい場合は、無理に自分で対処するよりも、専門業者に依頼して表面を削り直してもらうのが最も安全で確実な方法です。
長持ちさせるためのお手入れ

高品質な銀杏のまな板は、適切なお手入れをすれば何年、何十年と使い続けることができる一生モノの道具です。
臭いやカビを防ぎ、長く美しく保つための日々の習慣を身につけましょう。
ポイント1:使う前には必ず濡らす
調理を始める前に、まな板の表面全体を水でさっと濡らし、清潔な布巾で軽く水気を拭き取ります。
こうすることで、表面に水の膜ができ、食材のアクや色、臭いがまな板に染み込むのを防いでくれます。
ポイント2:使用後は放置せず、すぐに洗う
食材を切った後は、まな板を長時間放置しないことが大切です。
特に肉や魚を切った後は、雑菌が繁殖しやすくなります。
なるべく早くタワシなどを使って洗いましょう。
ポイント3:洗剤は必要に応じて
野菜を切っただけなど、油汚れがない場合は、洗剤を使わずにタワシと水で洗い流すだけでも十分です。
洗剤を使うと、木の油分まで奪いすぎてしまうことがあります。
肉や魚を切った後はもちろん洗剤を使ってくださいが、その際はすすぎ残しがないよう十分に洗い流しましょう。
ポイント4:保管場所は「風通し」を意識
洗い終わった後の保管場所が最も重要です。
必ずまな板スタンドなどを使って立てて保管し、空気に触れる面積を大きくして、効率よく乾燥させましょう。
シンクの下などの湿気がこもりやすい場所は避けてください。
少し手間に感じるかもしれませんが、この一手間一手間が、大切なまな板を長持ちさせる秘訣です。
道具を育てるような気持ちで、愛情を持ってお手入れしてあげてくださいね。
銀杏のまな板が臭いと感じたら
この記事のポイントをまとめます。
- 銀杏のまな板の臭いは木が持つ天然成分が原因
- 臭いの主成分は酪酸とエナント酸
- 新品のまな板は水分に触れることで臭いが強く出やすい
- 臭いは使用を続けるうちに自然に薄れていく
- 臭い対策の基本は使用後の洗浄と風通しの良い場所での乾燥
- 直射日光や急激な加熱は反りや割れの原因になるため避ける
- 重曹ペーストを使ったこすり洗いは消臭に効果的
- 手軽な酢水スプレーは日々の殺菌と消臭に役立つ
- 銀杏のまな板のメリットは刃当たりの良さと高い復元性
- デメリットは特有の臭いや日々のお手入れが必要な点
- カビ対策には洗浄と乾燥の徹底が最も重要
- 塩素系漂白剤の使用は木を傷める可能性があり慎重な判断が必要
- 調理前にまな板を濡らすことで汚れや臭いの付着を防げる
- 適切なお手入れを続けることでまな板は長く愛用できる
- 臭いの特性を正しく理解し上手に付き合うことが大切
銀杏のまな板の臭いは、最初は気になるかもしれませんが、それは天然素材ならではの個性です。
正しい知識を持ってお手入れすれば、臭いは必ず和らぎ、最高の調理パートナーとなってくれるでしょう。
 
  
  
  
  
